最新記事

AI

「まさにホラー!」AIアートジェネレーターが次々と不気味な顔を作り出した

2022年12月27日(火)19時45分
松岡由希子

「目を背ける......」AIがホラー画像を次々作り出した...... photoschmidt-iStock

<スウェーデンのアーティストが、AIアートジェネレーターを用いて創作活動をしていたところ、グロテスクな恐ろしい画像が次々とあらゆる画像にとりつき生成された......>

ユーザーが入力したテキストをもとに人工知能(AI)が画像を自動で生成するAIアートジェネレーターは、アートとテクノロジーを融合させた新たな前衛美術の創作に活用され始めている。

スウェーデン出身のスーパーコンポジット氏もAIアートジェネレーターを用いて創作活動を行うアーティストの一人だ。彼女は2022年4月、機械学習アルゴリズムに対して命令と反対のものを見つけるよう指示する「ネガティブプロンプト」を試していたところ、虚ろな視線で険しい表情をした赤ら顔の不気味な中年女性に遭遇した。「ローブ」と名付けられたこの女性は、AIアートジェネレーターが十分に学習しているであろう有名人よりも簡単に再現されたという。

さらにAIアートジェネレーターに「ローブ」と他の画像を与えて「交配」させると、グロテスクな恐ろしい画像が次々と生成された。「ローブ」はあらゆる画像にとりつき、多種多様なジャンルや文脈を認識して置き換えられる。

>>■■閲覧注意【【画像】AIが作り出した恐怖の画像「ローブ」

拡大を恐れて使用したAIアートジェネレーターを公表せず

スーパーコンポジット氏は2022年9月、「ローブ」の画像をツイッターで投稿して一連の創作活動について明かし、SNS上で大いに反響を得た。なお、彼女は「自分が使ったAIアートジェネレーターを宣伝することで、これを用いてグロテスクなものを作るというトレンドを促したくない」との理由から、使用したAIアートジェネレーターを公表していない。

AIは人類の創作活動にどのような影響をもたらすのだろうか。英オックスフォードインターネット研究所(OII)のデジタル社会学者アン・プロイン研究員は「機械学習モデルは、何百もの芸術作品を学習した結果、想定外の方法で推定し、まったく認識していない要素に注目する可能性がある」としながらも、「これらのモデルは自律的ではなく、新たな芸術的ムーブメントを作り出すことはできない」との見解を示している。

執筆や作画にまつわる多くのサービスが不要となる

英サウサンプトン大学の博士課程に在籍するジョセフ・アーリー氏が指摘するように、専門家の多くは、AIが人類の創造性を完全に消し去るとは考えていない。その一方で、執筆や作画にまつわる多くのサービスが不要となり、ゴーストライターやイラストレーター、デザイナー、写真家の仕事が奪われるかもしれない時代に差し掛かりつつある。また、AIによって生成されたアートの急増に伴って、「アルゴリズムがアーティストの独特のスタイルを複製し、アーティストから奪い取ってしまうのではないか」との懸念も広がっている。

豪セントラルクイーンズランド大学(CQUniversity)で講師を務める写真家のブレンダン・マーフィー氏は、AIアバター生成アプリ「レンザ」がアーティストの創作活動に与える影響について論じた寄稿文で「『レンザ』のようなアプリがアートの創作方法をいかに揺るがそうとも、アーティストの個性が作品の重要なコンテキストであることに変わりはない」と主張している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円下落・豪ドル上昇、米政府再開期待で

ワールド

再送-〔マクロスコープ〕高市氏、経済対策で日銀に「

ビジネス

米国株式市場=上昇、エヌビディアやパランティアが高

ワールド

トランプ氏、英BBCに10億ドル訴訟警告 誤解招く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中