最新記事

アフガン情勢

G20特別首脳会議、アフガニスタンの人道的危機へ対応で合意 習近平とプーチンは不参加

2021年10月13日(水)11時28分
アフガニスタンのカブールをパトロールするタリバン兵士

20カ国・地域(G20)議長国を務めるイタリアのドラギ首相は12日、G20はイスラム主義組織タリバンとの協調を必要とする場合であっても、アフガニスタンの人道的危機に取り組むことで合意したと述べた。カブールで3日撮影(2021年 ロイター/Jorge Silva)

20カ国・地域(G20)議長国を務めるイタリアのドラギ首相は12日、G20はイスラム主義組織タリバンとの協調を必要とする場合であっても、アフガニスタンの人道的危機に取り組むことで合意したと述べた。

G20はこの日、アフガニスタン情勢に関する特別首脳会議をオンラインで開催。ドラギ首相は会議後の会見で「人道的な緊急事態に対応する必要性について基本的に見解が一致した」とした。

会議にはバイデン米大統領やインドのモディ首相、欧州各国首脳が参加したが、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領は参加しなかった。

ドラギ首相は習主席とプーチン大統領が欠席したからといって、今回の特別首脳会議の重要性が損なわれるわけではないと強調。「今回の会議はアフガン危機に対する最初の多国間での対応だ。多国間協調主義は困難を伴いながらも復活しつつある」とした。

参加国はアフガン危機を緩和する必要性について全会一致で合意。ドラギ首相は「タリバンの関与なしにアフガニスタンの人々を支援することは非常に困難だが、それはタリバンを認めるということではない」とした。

また、タリバンは言葉ではなく行動で判断されるべきとしたほか、アフガニスタンにおける女性の非常に苦しい立場が特に懸念されていると指摘。ただ「現時点で進展は見られない」とした。

会談後の共同声明で、G20首脳はタリバンに対し、国外で活動する過激派グループに取り組むよう要請。また、今後の人道支援プログラムは女性や少女に焦点を当てるべきであり、国外への脱出を希望するアフガニスタン人には安全な通行手段を提供すべきとした。

会談に先立ち、中国はアフガニスタンへの経済制裁を解除し、数十億ドルに上るアフガニスタンの海外資産の凍結を解除するよう求めたが、資産の多くを保有する米英が反対しており、共同声明にこの件に関する言及は盛り込まれなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領、中国に関税警告 対EU貿易黒字巡り=仏紙

ワールド

仏大統領、ウクライナ情勢協議へ8日にロンドン訪問 

ワールド

香港議会選の投票率低調、過去最低は上回る 棄権扇動

ワールド

米特使、ウクライナ和平合意「非常に近い」 ロは根本
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中