最新記事

韓国政治

【分析】若い支持者を失い、「コンデ」扱いされ、2市長選に大敗した韓国与党

2021年4月12日(月)19時30分
ソホ・リー
文在寅

若い世代は、文の掲げた公約が現政権下で実現できるとは思っていない(3月1日、ソウル) Pool via REUTERS

<2016年の総選挙から勝ち続けてきた文大統領の「共に民主党」が、首都ソウルと釜山の市長選で野党に敗北した。敗因は若い層の離反。20〜30代が与党を見限った、男女それぞれの理由とは>

韓国では2020年4月の総選挙に与党「共に民主党」が圧勝したことで、22年3月の大統領選でも与党勝利の道筋が見えたと思われていた。

共に民主党は2016年総選挙での予想外の勝利を皮切りに、17年の大統領選、18年の地方選、20年の総選挙と4連勝を記録。1987年の民主化以来、初の快挙を達成した。

成功の鍵は、40~50代前半の伝統的支持基盤に20~30代の若い有権者が加わったこと。これが、共に民主党と文在寅(ムン・ジェイン)大統領の選挙戦勝利を決定付けた。2020年総選挙後の出口調査によると、20代の56.4%、30代の61.1%が共に民主党に投票した。

だが2020年の総選挙からほぼ1年後、韓国最大の都市で首都のソウルと第2の都市釜山の市長選で、共に民主党は最大野党「国民の力」に大敗した。第1の敗因は若い層の離反だ。

ソウルの出口調査によると、20代の男性有権者の実に72.5%が国民の力の呉世勲(オ・セフン)元市長に投票した。60代以上の女性に次ぐ高い支持率だ。20代女性は40代男性以外で唯一与党候補に多く投票したが、国民の力の候補との差は3.1ポイントの僅差だった。

若い層の中でも、20代男性は早い段階で文と与党を見限った。その多くは、「#MeToo(私も)運動」に端を発したジェンダーやフェミニズムに関する最近の議論を理由に挙げる。韓国の20代男性の間には、ジェンダー問題の議論は自分たちにとって不公平であり、上の世代が起こした問題で自分たちが罰せられているという不満がある。

一方、20~30代の女性は若い男性とは逆に、男女平等の実現を期待して文政権と与党を支持し続けた。彼女たちは共に民主党の中核的支持層と見なされていた。

だが2つの市長選の直前、この層も急速に離反した。ある世論調査によれば、20代女性の文の支持率は1週間前に比べて30ポイントも低下している。与党幹部が選挙戦の期間中、セクハラの告発を受けて自殺した朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長の業績を称賛したことが反発を買った可能性もある。

韓国の若い女性と男性を結び付けるものがあるとすれば、韓国語で言う「コンデ」に対する嫌悪感だろう。コンデとは、若い世代を見下す発言を繰り返す管理職の年配者を指す。保守派有利の政治状況下で奮闘するリベラル戦士、というイメージが売りものの共に民主党には予想外かもしれないが、多くの若い有権者は彼らを支配政党、または「コンデ」と考えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、対欧関税撤回や堅調な指標受け

ワールド

ウィットコフ米特使がモスクワ到着、プーチン氏と会談

ワールド

中国のベネズエラ産原油購入、公正な価格で=米当局者

ビジネス

米11月PCE価格指数2.8%上昇、伸び加速
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 5
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ノーベル賞に選ばれなかったからグリーンランドを奪…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中