最新記事

投資

ビットコイン暴落、投資家は「全てを失う覚悟を」(英規制当局)

Bitcoin Investors 'Should Be Prepared to Lose All Their Money"

2021年1月12日(火)15時43分
スコット・リーブス

ビットコインは前週の最高値更新から一転、週末の取引で暴落した hocus-focus/iStock

<一部の事業者がリスクを軽視し、巨額の利益を謳って小口投資家をカモにしている、とも警告>

ビットコインなどの暗号通貨(仮想通貨)に投資している人は、全てを失う覚悟をしておくべきだ――イギリスの金融規制当局は1月11日、こう警告した。

英金融行動監督機構(FCA)は、過去数カ月にわたって急騰していた暗号通貨の価格が、週末にかけて急落したことを受けて、11日に警告を発信。「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」と声明で指摘。「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」と述べた。

しかしロンドン在住のアナリストは、ビットコインのファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然として強く、機関投資家は今後も暗号通貨を保有し続けるだろうと考えている。

ロンドンにある外国為替・暗号資産調査会社「クオンタム・エコノミクス」のビットコイン・アナリスト、ジェイソン・ディーンは本誌に宛てたコメントで、「強気相場における調整局面は一般に健全なものと考えられている。トレーダーはここでポートフォリオのリバランスを行い、次の段階に備えることができる」と説明。「登山家が次のポイントを目指す前にひと休みするようなものだ」と述べた。

FCA「換金できる保証なし」

さらに彼は、週末の価格急落は、小口投資家と機関投資家の相場観の違いによるものだと指摘した。

「手持ち資金の少ない個人投資家や、暗号資産について十分に理解していない投資家は、こういう状況になると売る傾向がある」と彼は説明。「だがこの価格下落を利用して、ビットコインの買い増しをする投資家もかなりの数にのぼるだろう」

英FCAは、暗号通貨には投資の原則が通用しない可能性があると指摘。「換金できるかどうかは市場の動向次第」であり、個人投資家が「暗号通貨を換金できる保証はない」と警告した。

JPモルガンは1月4日のリポートで、ビットコイン価格が14万6000ドルまで高騰する可能性があると予想していた。だが8日に4万1962.36ドルをつけて過去最高値を更新したビットコイン価格は、週末の取引では3万1045.70ドルへと約26%急落した。

バンク・オブ・アメリカは、ビットコインは「全てのバブルの母」の可能性があると警告。1990年代後半に始まったドットコム・バブルとその崩壊、約12年前の米住宅バブル崩壊やそれに続くサブプライムローン危機を引き合いに出し、警戒を呼び掛けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

財新・中国製造業PMI、6月は50回復 新規受注増

ビジネス

マクロスコープ:賃金の地域格差「雪だるま式」、トラ

ビジネス

25年路線価は2.7%上昇、4年連続プラス 景気回

ビジネス

元、対通貨バスケットで4年半ぶり安値 基準値は11
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中