最新記事

中国

ほぼ「無理心中」計画:香港民主派前議員大量逮捕の背景

TYRONE SIU-REUTERS

6日、香港立法会の民主派前議員や区議会議員など約50人が逮捕された。背景には民主派の「死なばもろとも十歩」計画がある。十歩目は中共とともに崖から飛び降りる際の国際社会支援頼み。現状では望み薄か。 

逮捕された人たちの経緯

1月6日に民主派系列の全立法会(香港議会)議員や区議会議員など50人超が逮捕されたが、この人たちは、2020年9月に予定されていた立法会議員選挙に向け、民主派の候補を絞り込むために実施された予備選挙(中国語で初選)に参加した政治家たちだ。

この予備選挙は昨年7月に行われたもので、民主派の前議員たちは、立法会の過半数を占めることで香港政府の予算案を否決し、香港政府トップの行政長官を辞任に追い込むことなどを目標に掲げていた。

昨年7月12日、香港の民主派は立法会議員選(定数70)に向けて同日まで2日間にわたり実施した予備選の投票者が、初期目標の17万人を上回って約61万人に達したと発表。

立法会選挙は、有権者全員が投票できる直接選挙枠(定数35)と、金融や商工業など業界団体の関係者らに投票権がある職能選挙枠(同35)に分かれる。ところが民主派には非常に多くの政党や政治団体があり、互いが相殺し合って、結果的に当選者を減らしてしまう。

言うならば日本の野党と同じで、多少の党議の違いは譲歩して大きな野党を作れば良いものを、わずかな「理念」の違いで小さな政党に細かく分かれているために、政権与党に永遠に勝てない。この論理と同じだ。

そこで香港の予備選挙は直接選挙枠で民主派候補の乱立を防ぐことが目的だった。

それに対して香港政府側は、香港政府には予備選制度はないので、予備選挙そのものが国家安全維持法(国安法)に違反すると非難したが、61万もの人が投票したことにより、これは「香港人が自由と民主を諦めていないことを世界中に示した証拠だ」と民主派は誇った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院共和党、EVの新車税額控除を9月末に廃止する

ワールド

米上院、大統領の対イラン軍事力行使権限を制限する法

ビジネス

バフェット氏、過去最高のバークシャー株60億ドル分

ビジネス

トランプ大統領、「利下げしない候補者は任命しない」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影してみると...意外な正体に、悲しみと称賛が広がる
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    キャサリン妃の「大人キュート」18選...ファッション…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 6
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 7
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中