最新記事

中国

中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会議研究者たち

2020年10月19日(月)13時09分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

特に2019年11月19日に米議会上院は、中国の人材リクルート計画(China's Talent Recruitment Plans)に関する報告書を発表し、その中で千人計画(Thousand Talents Plan)に危険性と安全保障に関する脅威があると強調している。

この時点から中国大陸のネットでは、「千人計画」を簡体字で入力して検索すると、完全に一つもヒットしないという「完全削除」が行われていた。

ちなみに現在、「千人計画」というキーワードを簡体字で入力して検索すると、「大変申し訳ありません。"千人計画"に関するページを見つけることはできませんでした」というメッセージが出て来るだけだ。

ヒット数はゼロである。

しかし「千人計画」を香港などで使われている繁体文字である「千人計劃」で入力すると、少しではあるが、中国大陸のネットでもヒットするページが存在はするという奇妙な現象も見られた時期がある。しかしそれも今現在、念のため検索してみたところ、やはり簡体字同様に「大変申し訳ありません。"千人計画"に関するページを見つけることはできませんでした」というメッセージが表示される。

中国のネットでは、「千人計画」は完全に消されたのである。

それでいて残っている元日本学術会議会員の「千人計画」参加者情報

中国側の手落ちなのか、それとも「日本はまだ分かっていない」という警戒感の緩みなのか、かつて日本学術会議の会員で、「千人計画」のリクルートにより中国に渡って中国で大活躍している日本の研究者の情報には、なんと「千人計画」という言葉が残っている。

かなりの数の元日本学術会議会員が中国で活躍し、中国の科学技術の発展に貢献しているが、その中のお一人を例に挙げてお示ししたい。

その人の名は福田敏男。中国のウィキペディアに相当する「百度百科」をはじめとする多くのサイトで紹介されている。

因みに「百度百科」で紹介されている福田敏男の情報をお見せしよう。ご覧のようにここには「当選日本科学議院成員(日本学術会議のメンバーに当選)」という言葉があり、さらにそのページの下の方にある「学術論文」という項目のところの4番目には呉星鋒という人が書いた「ソフトロボットの開拓者――北京理工大学"外専(外国人専門家)千人計画"の専門家・福田敏男独占取材」というのがある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北海ブレント先物、約2ドル安 米が中東への介入決定

ワールド

エア・インディア機のブラックボックス解析場所決まら

ワールド

ベトナム、米と新たな貿易協定巡り協議 関税見直し要

ワールド

中国、英哨戒艦の台湾海峡通過を非難 「平和と安定損
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 6
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    下品すぎる...法廷に現れた「胸元に視線集中」の過激…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中