最新記事

感染症対策

コロナ回復者の9割で抗体が上昇 最長4カ月持続=アイスランドの研究

2020年9月2日(水)12時06分

 9月1日 新型コロナウイルスのアイスランドでの研究によると、感染から回復した人の90%超で抗体レベルが上昇、最長で4カ月間その状態が持続した。写真は3Dプリンターで作成したコロナウイルスのイメージモデル。3月25日、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのサラエボで撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

1日発表された新型コロナウイルスのアイスランドでの研究によると、感染から回復した人の90%超で抗体レベルが上昇、最長で4カ月間その状態が持続した。米バイオ医薬品アムジェン傘下でアイスランドを本拠とする遺伝子解析企業、デコード・ジェネティクスが医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表した。

これまでの研究では、抗体レベルは回復後の数カ月以内に急激に下がっており、感染で得られる可能性のある免疫の持続について疑問を生じさせていた。

研究は、アイスランドでどれだけ多くの人が既に感染したのかと、回復後の免疫について知見を増やすため、同国人3万人強の抗体レベルを計測した。

研究に基づくと、感染済みは人口の約1%。感染済みのうち、PCR検査で陽性と確認されたのが56%。14%は正式には診断されなかったが、ウイルスにさらされた後に隔離した。残りの30%で、抗体テストが以前の感染歴を示した。

PCR検査で感染が確認された1215人のうち91%で、感染と診断された後の最初の2カ月で抗体レベルが上がり、その状態が続いたという。

デコードのカリ・ステファンソン最高経営責任者(CEO)は、新たな結果は再感染リスクとワクチン効果の持続性という点で重要だと指摘した。

今回の研究は人口が同種的な1カ国で行われており、人口構成が多様な他国では同様の結果にならない可能性がある。

ニューイングランド誌は、新型コロナ感染から回復した人の抗体が再感染を防ぐかどうかは明らかではないとの編集注記を付けた。ただ、抗体テストはウイルス感染検査単独の方法よりも費用対効果が期待できる可能性があり、各国が経済や学校の安全な再開を検討している中では、人口集団の調査法として機能するかもしれないとの見解も示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・ロシア開発のコロナワクチン「スプートニクV」、ウイルスの有害な変異促す危険性
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死


20200908issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

内田洋行株が12%超高、26年7月期純利益が過去最

ワールド

パレスチナ当局者のビザ巡る決定撤回を、仏大統領が米

ワールド

EU加盟国の拡大を住民の56%が支持=世論調査

ワールド

韓国GDP、第2四半期は前期比0.7%増 速報値上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 10
    トランプ関税2審も違法判断、 「自爆災害」とクルー…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中