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国連、香港国家安全法に懸念表明「恣意的な解釈で基本的人権を侵害の恐れ」

2020年7月4日(土)12時42分

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のルパート・コルビル報道官は、今週施行された「香港国家安全維持法」について、条文が「あいまいで範囲が広すぎる」と指摘し、集会の自由や表現の自由といった基本的人権が侵害される恐れがあるとの見解を示した。写真は香港で、逮捕されたデモ参加者を応援する人々(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のルパート・コルビル報道官は3日、今週施行された「香港国家安全維持法」について、条文が「あいまいで範囲が広すぎる」と指摘し、集会の自由や表現の自由といった基本的人権が侵害される恐れがあるとの見解を示した。

国家安全維持法の適用範囲や違反行為について十分な情報や理解がないまま施行され、既に逮捕者が出ていると指摘。

「同法に記されている違反行為の一部は定義があいまいで範囲が広すぎ、暴力的な行為と非暴力的な行為を適切に区別していない」と懸念を表明した。

その上で「これは法律の差別的または恣意的な解釈と施行につながる恐れがあり、人権保護を損なう可能性がある」と述べた。

また同法が禁じる「外国や外部勢力との結託」について、活動家が表現の自由や、結社および平和的集会の自由といった権利を行使した場合に起訴される可能性があると批判した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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