最新記事

米中関係

米国務長官ポンペオ「香港自治は終えんの前兆」 中国の国家安全法案めぐり批判

2020年5月24日(日)12時20分

中国政府が香港に国家安全法の迅速な制定を義務付ける新たな法案を全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に提出したことについて、ポンペオ米国務長官は「横暴かつ破滅的」であると非難した。写真は5月20日、国務省で記者会見するポンペオ長官(2020年 ロイター/Nicholas Kamm)

中国政府が香港に国家安全法の制定を義務付ける新たな法案を全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に提出したことについて、ポンペオ米国務長官は22日、「横暴かつ破滅的」で、香港の自治の「終えんの前兆」と非難した。

ポンペオ長官は「香港に国家安全法の制定を課す(中国の)提案を米国は非難する」とした上で、「米国は中国に対し、この破滅的な提案を再検討するとともに、国際義務を順守し、香港の高度な自治を尊重するよう強く求める」と述べた。

さらに「中英共同宣言と香港基本法によって保証される香港の自治と自由を脅かすような決定をすれば、『一国二制度』などを巡る米国の評価への影響は避けられない」とした。

トランプ大統領は前日、中国が香港に国家安全法を導入すれば、米国は「極めて強硬に対応する」と警告した。

オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はFOXニュースに対し、米政府には「不満を表明する多くの手段がある」と指摘。しかし、具体的な行動には言及していない。

さらにオブライエン氏は「中国が香港に国家安全法の制定を義務付ける新たな法案を巡り強硬な行動に出れば、米国は対応する。英国や他の多くの友好国も対応するだろう」と述べた。

英国統治下の香港で最後の総督を務めたクリス・パッテン氏は中国政府を「おびえた乱暴者の集まり」と批判。「前政権とは違い、習近平国家主席が率いる中国は信用できない。習氏は独裁者のように国を取り締まり、自身と中国政府に異論を唱える人間を受け入れることができない」と述べた。

カナダ、英国、オーストラリアは共同声明を発表し、国家安全法提案について「深く懸念している」と表明。

香港の民主化を求める活動家らは、香港の自由や世界の金融センターとしての地位が奪われると強い懸念を示し、抗議デモを呼び掛けた。


*8段落目の「オーストリア」を「オーストラリア」に訂正しました。

[ワシントン/香港 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・新型コロナよりはるかに厄介なブラジル大統領
・ワクチンができてもパンデミックが終わらない理由
・緊急事態宣言、京都・大阪・兵庫を解除 東京など5都道県も専門家が25日に評価し解除可能に=安倍首相
・コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」


20200526issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英財務相、金融業界の規則緩和さらに推進へ 「成長を

ビジネス

米大手銀、ディールメーキングの回復で第2四半期利益

ワールド

トランプ氏、退職年金にプライベート市場投資促す大統

ビジネス

物価目標2年で実現できず、異次元緩和に懐疑論=15
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 5
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 6
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 7
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 8
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中