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感染症対策

医療専門家の警告無視するトランプ 抗マラリア薬服用は「個人が決めること」

2020年5月20日(水)10時57分

トランプ米大統領は医療専門家らの警告にもかかわらず、新型コロナウイルス感染への予防薬として、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用していることについて、個人の自由だと主張した(2020年 ロイター/Leah Millis)

トランプ米大統領は19日、医療専門家らの警告にもかかわらず、新型コロナウイルス感染への予防薬として、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用していることについて、個人の自由だと主張した。米議会を訪問中に記者団に述べた。

トランプ氏は同薬が「さらなる安全性を提供する」との考えを示し、使用については「それぞれが自分で決めなければならないだろう」と語った。

米食品医薬品局(FDA)はヒドロキシクロロキンについて、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての使用には、副作用が起きる恐れがあるとして投与に警告を発している。

ペンス副大統領はFOXニュース・チャンネルのインタビューで、自身は同薬を服用していないと語った。

ペンス氏は、その上で「米国民が主治医の助言に従うことを決して否定しない」と述べた。同氏は医師が処方した場合、FDAは同薬の「適応外使用」を認めているとも語った。

トランプ氏は数週間前、ヒドロキシクロロキンの新型コロナに対する効果を示す報告を受け、同薬を新型コロナの治療薬として導入することを推奨していた。しかし、その後の研究では効果がないことが示されている。

大統領専属医のショーン・コンリー氏は、ホワイトハウスが18日に公表したメモで、ヒドロキシクロロキンの使用の是非を巡るデータについて、トランプ氏と多くの議論を交わしたことに言及し「われわれは、関連するリスクよりも治療で得られる利点のほうが大きいとの結論に至った」と説明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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