最新記事

追悼

台湾人だけが知る、志村けんが台湾に愛された深い理由

THE MOST-BELOVED JAPANESE IN TAIWAN

2020年4月3日(金)17時50分
蔡亦竹(台湾・実践大学助理教授)

本人たちは意識していなかっただろうが、台湾人はビデオ店から借りた後、何回もダビングされ劣化した映像の中に自分を投影した志村像をつくり上げ、共感した。2000年代に日本アジア航空が金城武と志村をCMのイメージキャラクターとして起用した時、台湾人は志村が台湾に「やってくる」のではなく、「やっと帰ってきた」と思ったのだ。

だからこそ、志村が帰らぬ人になった時、蔡英文総統をはじめとした全台湾が悲しんだ。その悲しみに外交辞令や政治的な計算は一切ない。強いて言えば、それはただ台湾人が民主化時代の夜明け前を、共に過ごした心の友の死を悼む感情であろう。本人にはありがた迷惑かもしれないが、彼ならきっと言うだろう。

「だいじょうぶだぁ」

蔡亦竹 (さい・いじゅ)
実践大学応用日本語学科助理教授(助教)。筑波大学文学博士。民俗学専攻。日台の相互理解を深めるため、大学勤務のかたわら作家活動を行う。台南市在住。

cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナムに台風20号「ブアロイ」上陸、13人死亡 

ワールド

ゼレンスキー氏、欧州との共同防空システム構築を提案

ワールド

トマホーク発射なら米軍の関与分析へ=ロシア大統領府

ワールド

モルドバ当局、ロシア在住の数十万人の投票を妨害=ク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
特集:ハーバードが学ぶ日本企業
2025年9月30日号(9/24発売)

トヨタ、楽天、総合商社、虎屋......名門経営大学院が日本企業を重視する理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から思わぬものが出てきた...患者には心当たりが
  • 4
    「逃げて」「吐き気が...」 キッチンで「不気味すぎ…
  • 5
    シャーロット王女の「視線」に宿るダイアナ妃の記憶.…
  • 6
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 7
    マシンもジムも不要だった...鉄格子の中で甦った、失…
  • 8
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中