最新記事
アメリカ社会

イラン戦争間近? アメリカで「#第三次大戦」がトレンド入り、若者は徴兵パニック

Why Is World War 3 Trending? Social Media Users Comment On The Possibility Of A US Military Conflict With Iran

2020年1月8日(水)14時15分
ウェスリー・ドカリー

イラン革命防衛隊が演習で放ったミサイル(2006年11月、テヘラン郊外のゴム) Fars News-REUTERS

<アメリカとイランが戦争すれば第三次大戦に発展する? 今のうちに政府の徴兵登録を抹消しようと若者がシステムをクラッシュさせる騒ぎに>

米軍が1月3日、ドローン攻撃でイラン革命防衛隊の司令官カセム・スレイマニを殺害すると、アメリカのSNSは大騒ぎとなり、ツイッターでは「第三次大戦(WWIII)」がトレンド入りした。アメリカがイランとの戦争に踏み切れば、徴兵が始まるのではないかという不安の声も多く上がっている。

米政治コンサルタントのフランク・ルンツは、「徴兵再開を危惧した若者たちがセレクティブ・サービス・システム(選抜徴兵登録制度)のウェブサイトに殺到してクラッシュさせた。第三次大戦が始まるのではないかと心配でたまらないからだ」とツイートした。もしアメリカが徴兵を再開すれば、1970年代のベトナム戦争以来になる。

アメリカの若者がセレクティブ・サービスのウェブサイトにアクセスしているのは、選抜徴兵登録を抹消する方法を知りたいからかもしれない。同制度への登録は、18~25歳までのアメリカ人男性全員に義務付けられている。大学進学のため連邦政府奨学金を受けるのにも選抜徴兵登録が必須なので、「FAFSA(連邦学資援助無料申し込みの略称)」もソーシャルネットワークでトレンド入りしている。


ユーザーのなかには、「米軍(U.S. military)」をブロックすれば徴兵を免れられるとジョークを飛ばす者もいる。

サラエボ事件とスレイマニ殺害を対比

スレイマニを殺害したことの重大性についてコメントするユーザーもいる。ニューヨーク・タイムズ紙の国家安全保障担当記者のアダム・ゴールドマンは、「アメリカが前回、他国の重要な軍事指導者を殺害したのは第二次世界大戦で、日本の連合艦隊司令官だった山本五十六海軍大将が乗った飛行機を撃ち落としたときだ」と、ツイートした。

ソレイマニ殺害は大きな波紋を広げている。イラク議会は1月5日、駐留米軍を含む外国部隊の撤退を求める決議を採択した。イランは、2015年イラン核合意による核開発の制限を順守しないと宣言した。

ソーシャルメディアでトレンド入りしている言葉は他に「フランツ・フェルディナント」がある。オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者だったフェルディナント大公のことだ。大公が1914年にサラエボ(当時はオーストリア領、現ボスニア・ヘルツェゴビナ)で殺害されたことで、第一次世界大戦が始まった。

ネットユーザーたちは、サラエボ事件とソレイマニ殺害を比較していたのだろう。大公の名前にちなんだスコットランドのロックバンド「フランツ・フェルディナンド」はツイッターで「念のために言っておくが、われわれは#WWIIIに反対だ」とコメントしている。

(翻訳:ガリレオ)

20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

NYタイムズ、パープレキシティAIを提訴 無断複製

ワールド

プーチン氏、インドに燃料安定供給を確約 モディ首相

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、12月速報値は改善 物価
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中