最新記事

航空機

東シナ海上空は韓国へ 航空管制権見直しで日本、中国が基本合意

2019年11月28日(木)12時11分

複数の関係筋によると、日本と韓国は、最近起きた航空機のニアミスを受け、東シナ海上空の航空管制権を見直すことで基本合意した。写真は2013年9月、韓国の仁川空港から離陸する日航機(2019年 ロイター/Lee Jae-Won)

日本と韓国は、最近起きた航空機のニアミスを受け、東シナ海上空の航空管制権を見直すことで基本合意した。

両国は現在、韓国の領空を通る「AKARA(アカラ)コリドー」と呼ばれる航路で、航空交通の管制を分担。韓国が南北、日本は東西間のフライトに指示を出している。東西間のフライトの多くは上海発着便だ。

しかし、日韓の管制当局は異なる無線周波数を使っており、飛行中に緊急事態が発生した場合や、乱気流回避のためや悪天候で高度変更が必要な場合、操縦士と連絡を取ることが難しいケースもある。

国連専門機関の国際民間航空機関(ICAO)は、ロイターの先の報道を認める形で、韓国が日本の管制権を引き継ぐことで基本合意に達したと明らかにした。

現在日本に管制権を移譲している中国も合意に含まれており、将来的に管制権を韓国に移譲する見通し。

ICAOのオルムイワ・ベナード・アリウ理事会議長はロイターとのインタビューで「われわれの提案が3か国によって受け入れられた」と説明。そのうえで、来年1月か2月に正式な合意が結ばれ、4月に発効する見通しだと述べた。

国際航空運送協会(IATA)は、今回の合意が「安全性と効率性に好影響を及ぼす」と確信していると表明した。

アカラ航路では今年、2機の民間航空機が異常接近する事態が発生。昨年には米フェデックスの航空機が韓国の格安航空機2機と衝突しそうになった。

日韓の協議に直接関与したアリウ氏は「個人として現状を憂慮していた」と述べ、「東京五輪の開催が近づいており、便数の大幅増を意味するからだ」と続けた。

同氏によると、今回の合意で日本側は航空路線の追加という恩恵を享受することになる。

さらなる路線追加につながる可能性もあり、東京五輪後に中国─韓国間の1路線についての協議が行われる見通し。

中国民用航空局(CAAC)からのコメントは現時点で得られていない。韓国国土交通省の当局者は27日、航空管制の問題をICAOに提起し、日本と協議中だと述べた。

日本の国土交通省当局者は、ICAOの原則に従ってアカラ航路について他国と協議しているとした。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191203issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、1─3月期は予想下回る1.6%増 約2年

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中