最新記事

イラン

イランのネット規制で露呈した37歳通信・情報技術相と強硬派の対立

2019年11月25日(月)17時00分
トム・オコナー

ロウハニ政権はネット規制緩和を掲げてきたが BRENDAN MCDERMID-REUTERS

<ガソリン値上げへの抗議デモ拡大を恐れた政府、「治安維持を目的にしたネット遮断指示があった」と若手閣僚が認めた>

政府が予告なしにガソリン価格を50%以上引き上げると発表した11月15日以降、イランでは大規模な反政府デモが全土に拡大。さらにインターネット接続が数日間にわたって大幅に制限され、企業活動や市民生活に多大な支障が出ている。

デモの呼び掛けがSNSなどで広がるのを恐れた政府がネットを遮断したとの臆測が広がるなか、ジャフロミ通信・情報技術相は「国家安全保障最高評議会からプロバイダ各社にネット接続を切るよう指示があった」と発言。治安維持を目的とした政府の介入があったことを認めた。

37歳のジャフロミはイラン初となる、1979年のイスラム革命後に生まれた若手閣僚。欧米を敵視する強硬派の圧力を受けながらも、ツイッター解禁などの改革に積極的に取り組んできた。だが、政府に批判的な世論が強まるなかでのネット規制緩和はリスクが高く、ジャフロミを支えるロウハニ政権と強硬派の対立はますます強まりそうだ。

<2019年12月3日号掲載>

【参考記事】イラン政権転覆を狙う反体制派が抱える闇
【参考記事】米制裁で揺らぐイランの中東覇権──支配下のイラクやレバノンでも反イラン暴動

20191203issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月3日号(11月26日発売)は「香港のこれから」特集。デモ隊、香港政府、中国はどう動くか――。抵抗が沈静化しても「終わらない」理由とは? また、日本メディアではあまり報じられないデモ参加者の「本音」を香港人写真家・ジャーナリストが描きます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ドイツ経済、26年は国内主導の回復に転換へ=IMK

ワールド

豪首相、ヘイトスピーチ対策強化を約束 ボンダイビー

ビジネス

仮想通貨交換コインベース、イベント予測や株式取引に

ビジネス

エリオット、加ルルレモン株10億ドル超取得 CEO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中