最新記事

鉱物

ヨーロッパ最大の「結晶世界」、「プルピ晶洞」一般公開される

2019年10月23日(水)18時45分
松岡由希子

ヨーロッパ最大の結晶洞窟「プルピ晶洞」  Hector Garrido

<氷の結晶のような透明度の高い巨大な透石膏で覆われているスペインの「プルピ晶洞」が、2019年8月から一般公開されている......>

スペイン南部アルメリア県プルピの「プルピ晶洞」は、1960年代に閉鎖された銀山「ミナリカ」の50メートル下でスペインの鉱物学者グループによって1999年に発見された晶洞だ。巨大な結晶に覆われた洞窟ということでは、メキシコ北西部チワワ州のナイカ鉱山の下にある晶洞が世界最大で有名だが、プルピ晶洞は、これに次ぐもので欧州では最大規模だ。

11立方メートルの卵形空洞をなし、氷の結晶のような透明度の高い巨大な透石膏で覆われている。2019年8月5日から広く一般に公開されているが、その構造や地史などについては、まだ多くの謎が残されている。

560万年前、地中海が干上がった後にこの結晶形成がすすんだ

スペイン・グラナダ大学フアン・マヌエル・ガルシア・ルイス特任教授らの研究チームは、鉱物のサンプルを分析したり、地質構造をマッピングするなどして、「プルピ晶洞」が見つかった「ミナリカ」の地質学や地球化学を研究し、「プルピ晶洞」が形成されるまでの地史を解明した。

一連の研究成果は、2019年10月15日、学術雑誌「ジオロジー」で公開されている。

matuoka1023c.jpg


012-geode-pulpi-2.jpg

研究結果によると、「プルピ晶洞」の結晶は、メキシコのナイカ鉱山にある晶洞と同様に、二水石膏(硫酸カルシウム・2水和物)であった。気候変動に伴う温度変動が影響を与える浅い深度において、摂氏20度程度で形成されたものとみられている。二水石膏の最大溶解度である摂氏40度未満の温度変動によって溶解と再結晶化が促され、微小な結晶が溶解してより大きな結晶に再沈着していく「オストワルド熟成」が増幅されたようだ。

「プルピ晶洞」の結晶形成がいつ起こったのかについては、まだ明らかになっていない。研究論文の責任著者であるガルシア・ルイス特任教授は「560万年前、地中海は大海から切り離されて大部分が干上がっているが、その後この結晶形成がすすんだとみられる。おそらく6万年前から200万年前の間に結晶形成が起こったのではないか」との見解を示している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 7
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 8
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 9
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 10
    イタリアに安定をもたらしたメローニが国民投票で敗…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 8
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中