最新記事

中東

イラン革命防衛隊「解放なければ英タンカーを拿捕するのが義務」

2019年7月6日(土)07時36分

イラン革命防衛隊は、タンカーを解放しなければ、英国のタンカーを拿捕する必要があるとの認識を示した。写真は「グレース1」。ジブラルタルで4日撮影(2019年 ロイター/Jon Nazca)

イラン革命防衛隊の幹部は5日、英領ジブラルタル沖でイランの石油タンカーが拿捕(だほ)されたことについて、直ちにタンカーを解放しなければ、英国のタンカーを拿捕する必要があるとの認識を示した。

同幹部はツイッターで「英国がイランの石油タンカーを解放しなければ、英国のタンカーを拿捕するのが当局の義務だ」と表明。

「イラン・イスラム共和国は40年の歴史の中で、いかなる戦いでも戦闘行為を先に始めたことはないが、いじめへの対応を躊躇(ちゅうちょ)したことはない」と述べた。

拿捕されたタンカーは30万トン級の「グレース1」。中東から地中海方面に向けアフリカ大陸南端沖を航行した後、スペインの南端に位置するジブラルタル沖で英海兵隊とジブラルタル当局に拿捕された。

トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「イランは極めて慎重になる必要がある」と述べ、改めてイランに警告した。ただ石油タンカーの拿捕については直接言及しなかった。

ジブラルタル当局は、グレース1の乗組員は積荷の詳細、および最終的な目的地の解明に向け目撃者として事情聴取を受けており、犯罪容疑者として取り扱われていないと説明。グレース1がEUの制裁措置に違反してシリアに原油を輸送していた疑いがあるため、ジブラルタルに14日間とどめる承認を得たことも明らかにした。

ジブラルタル当局の報道官によると、グレース1の船上には拿捕後も調査のために警察官や関税当局者らがとどまっているが、英海兵隊員はすでに撤収している。

法律会社ヒューズ・ハバード・アンド・リード(パリ)の経済制裁専門家、オリビエ・ドーガン氏は、英国はイランに対し核合意から逸脱すれば欧州諸国は対応すると警告を発したと指摘。「タンカーの拿捕は政治的な影響が目的で行われた。英国はイランに対し警告を発している」と述べた。

[ドバイ/ロンドン 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド総選挙、2回目の投票始まる 与党優位揺るがず

ワールド

米中関係の「マイナス要因」なお蓄積と中国外相、米国

ビジネス

デンソーの今期営業益予想87%増、政策保有株は全株

ワールド

トランプ氏、大学生のガザ攻撃反対は「とてつもないヘ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中