最新記事

米政治

オカシオコルテスの過激発言が波紋「まるで強制収容所」

2019年6月24日(月)16時10分
アレクサンドラ・ハッツラー

COURTESY CBP-HANDOUT-REUTERS

<同じ民主党のペロシ下院議長は注意を促し、共和党からは非難の声>

米民主党の新人オカシオコルテス下院議員が6月17日、移民収容施設(写真はテキサス州の施設)を強制収容所に例えて非難されている。

ペロシ下院議長は、今日の「政治的に過敏な」状況の中で民主党議員たちに対し、発言に注意を促した。「議員は選挙区と選挙民を代表しており、自分の発言に責任を負う」と発言。政治的ライバルたちからコメントを悪用される可能性があることについて、オカシオコルテスを名指しにすることを避けつつ、民主党議員全体に警告した。

オカシオコルテスは17日夜、インスタグラムのライブ配信で、米政府がメキシコとの国境に沿って移民の「強制収容所」を運営していると主張。「『二度と繰り返さない』という人道的精神を重視する人々」にこう呼び掛けた。「強制収容所が現在アメリカで制度化されているという事実は非常に厄介で、私たちは何かをする必要がある」

この発言は6月初め、トランプ政権が移民の子供に提供されている全ての教育や娯楽などの提供を終了したことを受けてのものだ。米保健福祉省の難民再定住室は「途方もない財政難」のために、子供の「命と安全の保護に直接必要でない」施策を削減することになると述べた。政府は最近も、何百万もの不法移民を強制送還する計画を発表している。ペロシは18日、この計画を「全くの悪意と偏見」として非難している。

共和党はオカシオコルテスの過激発言を攻撃。リズ・チェイニー議員(共和党)は、移民収容施設を強制収容所と例えることで、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の犠牲者600万人を侮辱したと非難した。

一方オカシオコルテスは、移民が「非人道的な状態で虐待され死にかけている」施設を設立したとツイートで反論。政府を批判している。

<2019年7月2日号掲載>

20190702issue_cover200.jpg
※7月2日号(6月25日発売)は「残念なリベラルの処方箋」特集。日本でもアメリカでも「リベラル」はなぜ存在感を失うのか? 政権担当能力を示しきれない野党が復活する方法は? リベラル衰退の元凶に迫る。

ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、既存石油・ガス田での新規採掘を条件付き許可へ 

ビジネス

中国工業部門利益、10月は5.5%減 3カ月ぶりマ

ワールド

暗号資産企業の株式トークン販売巡る米SECの緩和措

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 容疑者は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中