最新記事

韓国事情

日韓関係の悪化が懸念されるが、韓国の世論は冷静──日本文化の浸透がその背景に?

2018年12月26日(水)15時50分
佐々木和義

ソウル・弘大入口エリアの日本料理店 撮影:佐々木和義

<このところ日韓関係の悪化を懸念する声が高まっているが、韓国の世論は冷静だ。訪日観光客の増加と日本文化の浸透がその背景にありそうだ>

2002年の日韓サッカーワールドカップを機にはじまった韓流ブームで、日本が韓国から輸入したコンテンツは2016年までに13億7600万ドル(約1548億1400万円)にのぼっている。日本が韓国に輸出したコンテンツは1億5000万ドル(約168億7700万円)で、輸入が輸出の約9倍に達しているが、近年、韓国では日本文化の浸透が著しい。

ベストセラー上位50位のうち7タイトルが日本の書籍

韓国の出版業界で、日本のコンテンツは根強い人気がある。大手書店の教保文庫が2018年11月18日に発表したベストセラー・ランキングで、薬丸岳の小説「誓約」が1位になるなど月間ベストセラー上位50位のうち7タイトルが日本の書籍だった。村上春樹や東野圭吾の新刊書は常に韓国のベストセラーの上位にランキングされている。

韓国語への翻訳本はもちろん、日本語の本もそのまま売られている。大型書店の教保文庫や永豊文庫では他の外国語書籍とは別に日本書籍のコーナが設けられており、文庫本から実用書、雑誌、コミックなどさまざまな日本の本が並んでいる。店頭にない日本書籍は取り寄せにも対応する。教保文庫が扱っている就職を控えた学生向けのビジネスマナー書は半数以上が日本の書籍だ。インターネット・ショッピング・サイトのイエス24でも2017年のベストセラー・ランキング上位100位のうち12タイトルが日本の書籍だった。

日本の味を求める韓国人

日本食は浸透が著しい分野である。2000年代後半から若者を中心に日本食がブームとなり、2006年に5272店だった韓国の「和食専門店」は、2018年8月には1万7290店まで増加した。若者が集まるソウルの弘大入口や江南、ソウル大入口など、日本風の建物に日本語の看板を掲げた飲食店が立ち並ぶ。日本式の居酒屋やラーメン店、うどん、スイーツやパン、丼物専門店など多様な日本料理店が集まる弘大入口エリアは外国人の間で「ジャパンタウン」と呼ばれているほどだ。

日本食文化のブームの背景に、訪日観光客の増加があげられる。英旅行比較サイト「スカイスキャナー」で、韓国からのアクセスが最も多い旅行先は日本だった(聯合ニュース)。実際の旅行先も日本が最も多く、東京、大阪に加えて北九州や静岡といった地方への旅行も注目を集めている。その2017年に日本を訪れた韓国人旅行者714万人の73.6%が日本旅行の目的に「グルメ」をあげるなど日本の味を求める韓国人が増えているのだ。

深夜食堂がブームに

和食専門店は脱サラ組に人気が高い起業アイテムとなっている。ソウル江南にある日系の和食専門料理学校では、受講生の7割を開業準備中の30代から40代が占め、大企業を退職してまもない受講生も少なくない。手に職をもたない脱サラの起業といえば、フライドチキンと相場が決まっていたが、飽和状態で新規参入が難しい状況となっている一方、日本料理は韓国料理と共通の食材が多く、客単価は韓国料理より高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米1月求人件数、694.6万件で予想上回る 採用は

ワールド

米国防長官、イラン報道でCNNを批判 トランプ氏朋

ビジネス

米GDP、25年第4四半期改定値0.7%増 速報値

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中