最新記事

中間選挙

フロリダ州知事選で「国民皆保険」を訴える左派の黒人が勝利、中間選挙でトランプ派の候補と激突

Progressive Values Give Voters Something to ‘Vote For’

2018年8月30日(木)17時00分
ニコル・グッドカインド

州都タラハシーの市長から初の黒人知事候補に選ばれたギレム  Chris Aluka-REUTERS

<対立候補は、子供と国境の壁づくりごっこをする動画を選挙PRに使うほどのトランプ崇拝者。両極が相まみえる>

全米最大の激戦州フロリダ州の知事選に向けた民主党予備選で8月28日、大方の予想を裏切って左派の黒人候補が勝利を収めた。バーニー・サンダース上院議員が推薦する、州都タラハシーのアンドルー・ギラム市長だ。

本命と見られていた民主党穏健派のグウェン・グレアム元下院議員にギラムが勝てたのは、「アウトサイダー」の立ち位置を前面に出した選挙戦略のおかげだ。場合によっては党の方針に逆らうことも厭わないというギラムは、ニューヨーカー誌にこう語っている。「民主党候補は生い立ちも見た目もこうだ、という既成概念があるが、私はそれにあてはまらない。左派と言われるが、それも違う」

同日に実施された共和党の予備選では、ドナルド・トランプ米大統領に忠誠を誓い、既成政治にノーを叫ぶロン・デサンティスが、同じく共和党中道派のベテラン政治家アダム・パットナム元下院議員を敗って、共和党のフロリダ州知事候補に選出された。

分かりやすい対立軸

ギラムとデサンティスの一騎打ちは、中間選挙に向けて全米で進む「有権者の二極化」の現れだ。民主党反主流のサンダース派と共和党反主流のトランプ派。左右2つの極端な勢力が、既成政治に背を向けた有権者の支持をつかんで勢いを増している。

ギラムはサンダースやニューヨーク州の民主党・下院選予備選挙に勝利したアレクサンドリア・オカシオコルテスらと共に、不法移民を取り締まる移民関税執行局(ICE)の廃絶を訴え、サンダースが2016年の大統領選予備戦で提案した「国民皆保険」を目指すなど、社会主義的な政策を掲げる。一方、トランプ・チャイルドとも言うべきデサンティスは、環境規制や自由貿易を目の敵にし、不法・合法を問わず移民の締め出しを叫んでいる。

ギラムは勝利演説でデサンティスとの対立軸を明らかにした。「われわれが耐えてきた暗黒時代は既成政治が生みだしたもので、嘲笑と分断はホワイトハウスが生みだしたものだ。ここフロリダ州からわれわれは発信する。真にアメリカ的な価値とは何かを全米の人々に思い出させる」

CNNのインタビューでも、「われわれは自分たちの価値観を前面に打ちだし、有権者を奮い立たせ、何かに対する反対票ではなく、われわれのビジョンに対する賛成票を獲得するつもりだ」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:マムダニ氏、ニューヨーク市民の心をつかん

ワールド

北朝鮮が「さらなる攻撃的行動」警告、米韓安保協議受

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中