最新記事

ホロコースト

ポーランドでまた歴史否定発言「ユダヤ人は自らゲットーに行った」

2018年3月22日(木)18時00分
クリスティナ・マザ

ユダヤ人も加担と強弁

「ポーランドがホロコーストに共謀したというげんせつ主張は、ナチス・ドイツの責任を曖昧にする」と、モラウィエツキ首相は書く。

「第2次大戦中、ポーランドはドイツとソビエトが企んだ大虐殺を経験し、600万人のポーランド人が亡くなった。その半数がポーランド在住のユダヤ人だ。ポーランドにナチスの第三帝国に協力する政権が誕生したことは一度もなく、ナチスの親衛隊が結成されたこともない」

元政治家である首相の父親は、息子の主張を後押しするためにインタビューに応じたようだ。

とりわけユダヤ人もナチスに協力していたというモラウィエツキ首相の発言は、激しい非難を浴びている。これを援護するためか、マテウス・モラウィエツキはインタビューで「ユダヤ人自由防衛隊」と呼ばれるネットワークに言及した。ナチスが抵抗組織に潜入させたユダヤ人スパイ網のことだ。

ユダヤ人は自主的にゲットーに行った、という主張の是非をめぐる議論が大々的に展開されていること自体が、新法の抑圧的な効果を浮き彫りにしているという見方もある。

ポーランドでは右派政党「法と正義」が政権を握って以来、ナショナリズムが一気に高まり、極右勢力が台頭している。昨年11月の独立記念日には、首都ワルシャワで愛国主義団体がデモを実施し、60万人が参加。ネオナチも堂々と隊列に加わった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ネット中立性規則が復活 平等なアクセス提供義務

ワールド

ガザ北部「飢餓が迫っている」、国連が支援物資の搬入

ビジネス

午前の日経平均は151円高、米株先物しっかりで反発

ワールド

英国民200万人がコロナ後遺症=国家統計局調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中