最新記事

日本政治

安倍政権、教育無償化へ法改正 19年10月消費税10%と企業拠出金で対応

2017年12月4日(月)20時11分

12月4日、政府が検討している2兆円規模の「経済政策パッケージ」の全容が4日、わかった。教育無償化を柱とする看板政策に、消費増税時の1.7兆円と併せて企業の拠出金0.3兆円を充てると明記した。写真は安倍晋三首相。11月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

政府が検討している2兆円規模の「経済政策パッケージ」の全容が4日、わかった。教育無償化を柱とする看板政策に、消費増税時の1.7兆円と併せて企業の拠出金0.3兆円を充てると明記した。

企業が負担する子ども・子育て拠出金率を引き上げ、0.45%を新たな上限とする改正法案を年明けの通常国会に提出する方針だ。複数の政府筋が明らかにした。

新たな政策パッケージは、幼児教育の無償化を柱とする「人づくり革命」と、企業の実質的な税負担軽減を盛り込んだ「生産性革命」が柱。

幼児教育無償化では、すべての3歳から5歳児を対象とする幼稚園、保育園、認定こども園の費用や、住民税非課税世帯の0歳から2歳児の保育所を対象とする。無償化に向けた自民党の提言を踏まえ、全面的な実施時期は2020年4月とする一方、前倒しできるものは19年4月から実施したい考え。

待機児童解消に向けた保育所整備と併せ、保育士の処遇改善も明記する。人事院勧告に伴う賃上げとは別に、19年4月からさらに1%(月3000円程度)を上乗せする。

高等教育の無償化に関しては低所得者に限定した授業料の減免や入学金免除を掲げ、公明党が求める私立高校の授業料の実質無償化に向けた具体策は今後、詰める。

無償化財源には「19年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる財源」を活用する。

増税で新たに生じる1.7兆円に加えて「経済界に対しても応分の負担を求めることが適当」とし、平均報酬月額と賞与額の0.25%を上限とする現在の拠出金率について、0.45%に引き上げる改正法案を来年の通常国会に提出することも明記する。

政策パッケージでは、賃上げや設備投資に積極的な企業に加え、革新的な技術を使って生産性向上に取り組む企業への税負担軽減策も盛り込み、今月8日の閣議決定を目指す。

(山口貴也)

[東京 4日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾包囲の大規模演習 実弾射撃や港湾封鎖訓

ワールド

和平枠組みで15年間の米安全保障を想定、ゼレンスキ

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 10
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中