最新記事

住民投票

スペイン憲法裁、独立宣言予定のカタルーニャ州議会に召集差止め命令

2017年10月6日(金)09時21分

10月5日、スペイン憲法裁判所は、同国北東部カタルーニャ自治州の州議会が週明け9日に予定する本会議召集を差し止める命令を出した。写真はカタルーニャ州旗。(2017年 ロイター/Yves Herman)

スペイン憲法裁判所は5日、同国北東部カタルーニャ自治州の州議会が週明け9日に予定する本会議召集を差し止める命令を出した。

同裁判所は、反独立派であるカタルーニャ社会党が提出した法的な異議申し立てを検討することに合意したと説明した。

1日に投開票されたカタルーニャ州の独立を問う住民投票で90%が独立に賛成したことを受け、州議会は9日にも本会議で独立を宣言することを目指していた。

州議会のカルマ・フルカデイ議長はスペイン政府に対し、政治問題への取り組みで裁判所を利用したと非難。州議会が検閲される必要はないと述べた。ただ、議会の指導者らは憲法裁の判断を拒否して会議を招集するかどうかをまだ決定していないという。

差し止め命令によりスペインは、1975年にフランシスコ・フランコの死亡による独裁政権崩壊で民主化されて以来、最大級となる危機に陥った。だが、少なくとも当面はカタルーニャによる完全独立が回避されるとの見方から、スペイン市場は上向いた。

スペインのラホイ首相はカタルーニャのプチデモン州首相に対し、分離独立計画を中止しなければ「より大規模な悪」の危険性があると警告した。

スペインのデギンドス経済相はロイターとのインタビューで、今回の混乱によりカタルーニャは打撃を受けていると主張。「カタルーニャの投資計画全体をまひさせる不透明感を生んでいる。不透明感がなくなるまで、国内外の投資家は誰も新規投資計画に加わらないだろう」と述べた。

カタルーニャの大手企業には、本社の国内移転を検討するところも出ている。国内銀行第5位のバンコ・デ・サバデルは5日に緊急会議を開き、本店を南東部バレンシア州アリカンテ県に移すことを決定。関係筋によると第3位のカイシャバンクは、6日に法的拠点をカタルーニャから移転させる可能性を協議する予定だ。

関係筋2人の話では、スペイン政府は法的な拠点をカタルーニャから移転させることを容易にする法令を6日に承認する見通しで、カタルーニャの財政にとって打撃となる可能性がある。この法令はカイシャバンク向けに作られたもので、株主総会を行わずに法律・税制上の拠点を移動させることができるようになるという。

[バルセロナ/マドリード 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

男が焼身自殺か、トランプ氏公判のNY裁判所前

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中