最新記事

アメリカ政治

トランプ「薬価引き下げる」 具体案は示さず、製薬関係者に波紋

2016年12月8日(木)10時44分

12月7日、トランプ次期米大統領はタイム誌のインタビューで、医薬品の価格動向に不満に感じているとし、「薬価を引き下げる」と述べた。ロサンゼルスのクリニックで4月撮影(2016年 ロイター/Lucy Nicholson)

 トランプ次期米大統領は7日、タイム誌のインタビューで、医薬品の価格動向に不満に感じているとし、「薬価を引き下げる」と述べた。ただ、具体的にどのように引き下げを実施するかについては言及しなかった。

 タイム誌は毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」にトランプ氏を選んだ。

 同氏は過去に海外からのより安価な医薬品の輸入に前向きな姿勢を示唆していた。

 薬価引き上げに批判的だった民主党候補のクリントン氏が先月8日の米大統領選に敗北したことで、製薬株とバイオテクノロジー株は当初は値上がりし、ナスダック・バイオテクノロジー株指数<.NBI>は大統領選後の2日間で一時12%上昇した。

 しかし医薬品株はここ数週間で上げ幅の大半を消し、ナスダック・バイオテク指数は7日に3%超下落。NYSEアーカ医薬品株指数<.DRG>は1%安となった。

 レイモンド・ジェームスのバイオテク・アナリスト、クリス・レイモンド氏は、投資家はトランプ氏の発言をどれほど真剣に受け止めるべきか分からないと感じていると指摘。「私が話した中では、トランプ氏の発言を受けて売りを出している機関投資家はいない」と述べた。

 米医薬研究製造業協会(PhRMA)は電子メールの声明で、薬価をめぐる政府の指示や介入は患者にとって解決策とはならないと指摘した。

 ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスのエリク・ゴードン教授は、トランプ氏が大統領選で勝利したことで「自由に薬価を設定できると製薬企業が考えるのであれば、思い違いだ」とし、トランプ氏に投票した有権者で高価格の医薬品を支持する人はいなかったと述べた。

[ニューヨーク 7日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル大統領選、ボルソナロ氏が長男出馬を支持 病

ワールド

ウクライナ大統領、和平巡り米特使らと協議 「新たな

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中