最新記事

2016米大統領選

TPP法案の採決、米上院院はトランプ新大統領の就任後に持ち越し

2016年11月10日(木)11時29分

11月9日、マコネル米上院院内総務(共和党)は、環太平洋連携協定(TPP)法案について、来年1月の新大統領就任前に採決は行わないとの認識を明らかにした。これによりオバマ大統領が退任前に目指していた署名は実現しない見通しとなった。写真はワシントンで撮影(2016年 ロイター/Kevin Lamarque)

 マコネル米上院院内総務(共和党)は9日、環太平洋連携協定(TPP)法案について、来年1月の新大統領就任前に採決は行わないとの認識を明らかにした。これによりオバマ大統領が退任前に目指していた署名は実現しない見通しとなった。

 マコネル院内総務は記者会見で「年内の採決はまずない」と言明。TPPや他の貿易協定に関する決定は、トランプ次期大統領に委ねられると語った。

 共和党議員の間には自由貿易やTPPの支持者も多いが、マコネル院内総務とポール・ライアン下院議長は9日、共和党が主導する医療制度・税制改革法案の来年の可決に向けた下地作りにトランプ氏とともに注力する方針を表明した。

 ライアン氏の報道官は同氏の考えについて、TPPには複数の条項に問題があり、下院での支持が十分でないことから採決を行わないとした10月の発言から方針は変わっていないと説明した。

 マコネル院内総務は、選挙後の「レームダック」議会での優先事項は、連邦政府の借り入れ権限延長と医療革新に関する法案の可決だとしている。

 ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ゲーリー・ハフバウアー氏は「TPPは歴史のごみ箱に入れられたと言っていいだろう。米国が参加する道筋は見えない」と指摘した。

 一方、ホワイトハウスのアーネスト報道官は記者会見で、TPP法案の利点を強調。議会にとってTPPは米国製品に対する関税引き下げなどの恩恵を得る絶好の機会だとオバマ大統領は引き続き確信していると述べた。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バングラデシュ前首相に死刑判決、昨年のデモ鎮圧巡り

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機100機購入へ 意向書署名とゼ

ビジネス

オランダ中銀総裁、リスクは均衡 ECB金融政策は適

ワールド

お知らせ=重複記事を削除します
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中