最新記事

日本経済

金融庁、地方銀行にビジネスモデル再構築求める 人口減とマイナス金利背景

2016年10月23日(日)11時43分

 そのうえで、二番手行の中でも経営陣の意識が低く、取り組みが不十分な場合は「問題行」として立ち入り検査などを実施する方針だ。

 金融庁は、これまでも地銀の優れた取り組みを公開することで地銀が自ら改革に動くよう促してきた。9月公表の「金融リポート」では、市場金利が低下し、貸出金利に下げ圧力がかかるなかでも、貸出金利の低下幅が小さくて済んでいる事例を紹介した。

 しかし、地銀トップの意識改革は道半ばだ。「いまだに情勢認識が甘く、『殿様意識』が抜けていない頭取がいる」(金融庁幹部)という。

マイナス金利政策は長期化の様相

「マイナス金利が5年、10年も続いたら大変なことになる」。金融庁の幹部は危機感を口にする。マイナス金利が早期に撤廃されれば、金融機関の収益の悪化は一時的で済むが、マイナス金利政策が継続すればするほど保有資産は劣化し、健全性がむしばまれていくからだ。

 しかし、日銀は「当面はマイナス金利を含めた金融緩和を継続し、経済・物価を下支えしていく必要がある」(関係者)としており、マイナス金利政策は長期化する見通しだ。

 金融庁の幹部は「自己資本比率が高く、健全性に問題のある地銀がない今こそ、真剣に将来に向けた収益向上策を打ちだすべきだ」と指摘し、地銀が持続可能なビジネスモデルを早急に構築するよう求めている。

 (和田崇彦 取材協力:伊藤純夫 編集:布施太郎)



[東京 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、社債が約50%急落 償還延期要請

ワールド

米大統領が台湾問題で中国挑発しないよう助言との事実

ワールド

香港高層住宅群で大規模火災、55人死亡・279人不

ビジネス

再送-第一生命HD、30年度の利益目標水準引き上げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中