最新記事

2016米大統領選

クリントン氏がミシガン州でまさかの敗北、貿易自由化問題が今後リスクに

2016年3月10日(木)19時18分

 自動車産業が拠点を置くミシガン州の民主、共和両党予備選における出口調査でも、自由貿易への疑念が広がっていることが示され、サンダース氏とトランプ氏の勝利につながった。

 ジャーディング氏は「クリントン氏は選挙序盤で中道姿勢を維持しようとする根本的な間違いを犯した。この選挙戦で、中道は存在しない」と指摘した。

わかりにくい姿勢

 ミシガン州は1980年代以降ずっと、外国企業との競争激化で打撃を受けてきた。

 さらにリベラル系のシンクタンク、米経済政策研究所(EPI)の試算では、環太平洋連携協定(TPP)が実施されれば、ミシガン州の雇用の5%が失われる。これは全米の州で最も高い比率になるという。

 同州の代用教員、ゲーリー・ハンリー氏は、賃金が上がらない責任の一端はクリントン氏にあると考えており、その理由として夫のビル・クリントン氏が大統領だった1990年代にNAFTAが発効したことを挙げた。

 ハンリー氏は「(ヒラリー)クリントン氏は受け身のファーストレディではなかった」と述べた。

 クリントン氏の貿易に関する姿勢は、トランプ氏やサンダース氏に比べるとわかりにくい。ファーストレディとしてNAFTA成立に関与しながら、上院議員時代には中米地域との自由貿易協定に反対票を投じたかと思えば、オバマ政権の国務長官としては日本やベトナなどとのTPP交渉を支援してきた。

 そして大統領候補に出馬した後で、TPPの最終協定文書を見ると米国の労働者保護が十分ではないとして実施に反対すると発言している。

 選挙戦でクリントン陣営を取り仕切るロビー・ムック氏は9日、記者団に対して貿易問題でクリントン氏がスタンスを修正する計画はないと語った。

 (Andy Sullivan記者)

[ワシントン 9日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物1%高、インドがロシア産原油購入停止とトラ

ビジネス

ステランティスに法的措置示唆、カナダ政府 米への生

ビジネス

アップル、「M5」搭載MacBookなど発表 価格

ワールド

スイス、11月に相続資産課税巡る国民投票 世論調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中