米電気自動車(EV)大手テスラは、車体の主要構造部分を1回のダイカスト鋳造プレスで成型する「ギガキャスティング」と呼ばれる技術のパイオニアだ。この手法は生産の効率化や生産コストの削減につながることからライバル企業はテスラに追い付こうと必死だが、テスラがさらなる高度化を進めていることが関係者5人の話で明らかになった。

テスラは「モデルY」の前部と後部の筐体を一体成型するために6000トンから9000トンの加圧力を持つ巨大な鋳造プレス機を使っている。

同関係者らによると、テスラはプラットフォーム(車台)と呼ばれる複雑な車体下部のほぼ全てを一体成型する革新的な技術の実用化に近づいている。自動車の下部は約400点の部品で構成されており、これが1つになればテスラは競合他社とのリードをさらに広げることになる。

この手法はイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が3月に打ち出した「アンボックスト」(自動車各部を一程程度のまとまった部品として造り、後で一体化して車両として組み立てる手法)という製造戦略の中核を成し、今後10年間で数千万台の安価なEVを生産しつつ、利益を上げるという計画の要だという。

米ケアソフト・グローバルのテリー・ウォイコウスキー社長は、もしテスラが車体下部のほとんどをギガキャスティング化することに成功すれば、自動車の設計・製造方法の変革がさらにと進むとみる。「ものすごく強力な手法だ。業界に大きな影響を及ぼし得るが、非常に困難な課題もある」と話る。「鋳造はかなり難しく、特に大型で複雑なものほど困難だ」と言う。

関係者2人によると、テスラは新たな設計・製造技術で車両の開発期間を18―24カ月に短縮し確立できると解説した。今のところライバルの多くは3年から4年を要している。

関係者5人によると、テスラが2020年代半ばまでに2万5000ドルで発売しようとしている小型EVには、前部と後部、そしてバッテリーが搭載される中央の底部を組み合わせた単一の大きなフレームが使われる可能性がある。

テスラは早ければ今月中にもこのプラットフォーム(車台)をダイキャストで一体成型するかどうかの決断を下すと見られている。関係者3人は、計画がこのまま進んでも設計検証の結果次第では最終製品が変更される可能性があると述べた。

ロイターはこの記事を配信するに当たりテスラとマスク氏にコメントを求めたが、回答はなかった。

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