最新記事

為替

ドル/円高値更新も盛り上がらず ユーロに奪われた「調達通貨」の座

2019年11月28日(木)16時38分

ドル/円が半年ぶり高値を更新した。しかし、年初来の値幅が過去最低にとどまる動きの鈍さは相変わらずで、変動率の上昇が見込まれると買われるオプションは、最安値を割り込んだ。2016年1月21日撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)

ドル/円が半年ぶり高値を更新した。しかし、年初来の値幅が過去最低にとどまる動きの鈍さは相変わらずで、変動率の上昇が見込まれると買われるオプションは、最安値を割り込んだ。膠着の一因には、キャリー取引の調達通貨というこれまでの円の特性が、ユーロ圏などの低金利政策で薄らいでいることも影響している。

ドル/円の予想変動率、再び過去最低

27日海外市場の取引で、ドルは一時109.61円まで上昇。半年ぶり高値をつけた。米経済指標の好調ぶりを受けて米金利が上昇し、ドルを押し上げたほか、それを好感した株高が円の売り圧力につながった。

しかし、半年ぶり高値更新による高揚感は、市場にほとんどない。年初来の値幅は104.10─112.40円と上下わずか8.30円。変動相場制移行後に初めて10円を割り込んだ昨年を、さらに下回っているためだ。

ドルが直近高値を更新するのと同時に、通貨オプション市場ではドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)3カ月物が4月の水準を下抜け、過去最低水準へ到達した。参加者の多くが「どうせドル/円はレンジ」(FX会社幹部)と、半年ぶり高値を冷ややかな目で見ていることが分かる。

ドルは堅調でもドル/円が動かぬ理由

世界的な低金利で主要通貨の値動きが鈍っているとはいえ、ドル/円の不動ぶりは突出している。G7通貨とスイスフラン、アジアで人気の豪ドルとNZドル、欧州のノルウェークローネ、スウェーデンクローナ、デンマーククローネを含めた10通貨の年初来対ドル変動率は、最も大きいのがスウェーデンクローナのマイナス7.5%。最も小さいのが円で、ほぼゼロ%にとどまる。

ドルそのものは堅調だ。10年物国債金利がギリシャも上回る1.7%台という「高金利通貨」として世界から資金を集め、主要通貨に対する総合的なドルの値動きを示すドル指数<.DXY>は現在、年初来で2%程度上昇している。

その堅調なドルに引けを取らないほど円が上昇しているために、ドル/円という通貨ペアが動かなくなっているのが現状だ。

円が買われているのは、リスクオフの買いだけではない。例えばドルの独歩高が進む際は、円より流動性の高いユーロや英ポンドなどへ売りが集中する。ドル高とユーロ安が値動きを主導することになり、ユーロ/ドルとユーロ/円がともに下落。結果的にドル高でもドル/円は横ばいが続く、という仕組みもある。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド合意の詳細交渉中 支払い

ワールド

ハセット氏、次期FRB議長に「独立した人物」を 責

ワールド

米ロ・ウクライナが三者会合、UAEで23─24日=

ビジネス

パラマウント、ワーナーへの敵対的買収期限を2月20
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 5
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 6
    ノーベル賞に選ばれなかったからグリーンランドを奪…
  • 7
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 8
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 9
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中