最新記事

自動車

日産、4-6月営業利益が前年比99%減 世界で従業員約10%削減へ

2019年7月25日(木)20時00分

日産自動車は、事業構造改革の一環として、2022年度までに世界で計1万2500人を削減すると正式に発表した。グループ全体の従業員数のうち約10%に相当する。写真は上海で4月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

日産自動車は25日、2022年度までに全従業員の約10%に相当する計1万2500人を削減すると正式に発表した。世界の生産能力を18年度の720万台から22年度に660万台へと落とし、工場稼働率を18年度の69%から22年度には86%へ高めるなどの構造改革を進める。ゴーン前会長の拡大路線を見直す。

同日発表した4―6月期の連結営業利益は前年同期比99%減の16億円だった。主力の米国販売不振や次世代技術の開発費用が響いた。

ゴーン前会長が拡大した生産ラインを削減

人員削減は、スペインやインドネシアの生産ラインなどすでに実施・公表中の案件を含めて18年―19年度に8拠点で6400人、20年─22年度に6拠点で6100人の規模で実施する予定。

20年以降の人員削減は今後決めるため、対象となる工場名は公表しなかった。ただ、同日会見した西川広人社長は「不採算の海外拠点の(生産)ライン」が中心と説明し、「ダットサン」や小型車のラインと示唆。「1ラインを止めることもあるし、場合によっては工場丸ごともありうる」とした。ダットサンはインドネシアやロシアなどで生産されている新興国向けブランド。

削減対象は「(カルロス・ゴーン前会長が推進してきた数量拡大優先の中期経営計画)『日産パワー88』の期間中(11―16年度)に小型車を作ろうと投資をした部分がかなり大きい」とした。商品ラインアップも22年度までに10%以上減らす。

構造改革費用は約400億円上乗せか

同社は5月、生産能力を10%削減して従業員4800人以上を削減する方針をすでに示し、早期退職などの初期費用として470億円かかるものの、年300億円規模のコスト削減効果があると説明していた。この削減規模を倍以上に拡大させ、効率化を急ぐ。

軽部博・最高財務責任者(CFO)は、人員削減などに伴う費用について、決定分は「400億円強を引き当て済み」と述べた。今後決まる削減分は「同程度の費用」を見積もっているとし、その都度、引き当てる予定で、1000億円近くになる見込みだ。

同社は19年度の営業利益3900億円を、22年度には8700億円に引き上げる計画を表明している。改善に寄与する固定費3000億円削減は「9割がた、めどがついてきている」と西川社長は指摘。さらに「着実な成長」を通じて1800億円分改善させるとし、計画達成に意欲を見せた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 7
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中