最新記事

【1】レモン社会主義って何?

ウラ読み世界経済ゼミ

本誌特集「世界経済『超』入門」が
さらによくわかる基礎知識

2010.04.12

ニューストピックス

【1】レモン社会主義って何?

2010年4月12日(月)12時14分

 レモンは酸っぱい。だからレモン社会主義とは「酸っぱい社会主義」のこと──ではない。そもそも厳密には社会主義の一種でもない。資本主義大国アメリカの最近の経済政策を皮肉った言葉だ。ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンらが使って広まった。

 レモンという英語には、果物のレモン以外に不良品とか欠陥自動車という意味がある。社会主義は平たく言うと、政府が企業を所有したりして国の経済を管理すること。その社会主義とレモンをくっつけると「政府がポンコツ企業を救う仕組み」というような意味になる。今のアメリカはまさにそんな政策を進めているというわけ。

「レモン」の代表格は銀行だろう。シティグループのような大手をはじめ、多くの危ない銀行に政府が税金をつぎ込んでいる。そうやって救済した銀行の経営に政府が口出しするようにもなった。

 08年9月にはつぶれそうになった大手保険会社AIGが政府の管理下(国有化のような状態)に置かれたが、今年になって幹部に巨額のボーナスが支払われたことが分かり、全米が激怒した。このほか、政府の融資でどうにか生き延びている自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やクライスラーも(文字どおり)ポンコツ車と呼んでいいだろう。

 レモン社会主義といった言葉が使われる背景には、資本主義では駄目な会社はつぶれるべきだという考え方がある。会社が儲かっているときは経営者や株主がボロ儲けし、つぶれそうになったら納税者がツケを払う──クルーグマンはそう批判する。

 アメリカがいま食べている「レモン」は後味が悪そうだ。

[2009年4月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

グリーン英中銀委員、インフレ圧力や賃金上昇指標を依

ビジネス

世界秩序は変化「断絶ではない」、ECB総裁が加首相

ビジネス

シティ、3月も人員削減へ 1月の1000人削減後=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、1月速報値51.5で横ばい 価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 7
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 8
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 9
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 10
    湿疹がずっと直らなかった女性、病院で告げられた「…
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中