コラム

中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌への「掲載料支援」中止、その真意は

2026年04月02日(木)20時55分

著名な学術誌の経営が傾く可能性

オープンアクセスであれば、全世界の人が無料で読むことができるので、知見の共有という点では非常に大きな意味を持つが、研究費が少ない研究者が論文が書けなくなるという問題も生じている。

ちなみに中国は現在、論文掲載数でトップクラスであり、年間、数千億円を学術誌に支払っているとされる。中国政府がこうした支援をやめると、著名な学術誌の経営が傾く可能性が指摘されている。

では、中国は何を目的に学術誌の掲載料支援を取りやめるのだろうか。

1つは中国自身の研究の質向上である。中国は苛烈な競争社会であり、それはアカデミズムも例外ではない。学術誌の中には、高額な掲載料を払えば査読を甘くして掲載させるところもあり、論文数を稼ぎたい中国の研究者が学術誌を悪用するケースが相次いだ。政府が支援をやめれば、レベルの低い研究者の排除につながる。


だが、これはあくまで目的の1つであり、真意は別にあると考えられる。仮に中国が掲載料支援をやめた場合、多くの雑誌の経営が悪化し、さらに購読料が値上がりする可能性が高い。そうなると購読者数が減少し、ますます論文の公共性や汎用性が担保されなくなる問題が生じるが、中国はここをチャンスと捉えているのかもしれない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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