コラム

【ホメない書評】ベストセラー本『1分で話せ』は、「根拠」がないのになぜ売れた?

2019年12月19日(木)17時00分

それにしても、ビジネス畑が長く、Yahoo!アカデミア学長の肩書を持つ著者が、アカデミズムで積み重ねられた知見を軽視したと言わざるを得ない表現を駆使し、「孫社長にも認められた」ことを売りにプレゼン技術を伝授する現象はなかなか興味深い。

グーグルなど世界のトップIT企業は、当然ながら最新の科学分野への研究投資を怠らない。人工知能(AI)分野で注目されているディープラーニングにしても、非ノイマン型と呼ばれる次世代コンピューター開発にしても、脳科学で明らかになっている知見を踏まえている。

極めて残念な事実だが、脳科学というアカデミズムへの敬意の差が、そのまま世界と国内トップクラスのIT企業の差に現れているのでは?そう思い知らされる一冊だった。

<2019年12月3日号掲載>

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12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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