ニュース速報
ワールド

韓国与党代表「大統領の職務停止必要」、党は弾劾反対姿勢を再確認

2024年12月06日(金)21時17分

 12月6日、韓国与党「国民の力」の韓東勲代表(写真)は、尹錫悦大統領が職務を続ければ国民が危険にさらされる可能性が高いとし、できるだけ早期に職務を停止する必要があると述べた。写真は韓国ソウルで4月撮影(2024 ロイター/Kim Hong-Ji)

Hyunsu Yim Ju-min Park

[ソウル 6日 ロイター] - 韓国与党「国民の力」の韓東勲代表は6日、尹錫悦大統領が職務を続ければ国民が危険にさらされる可能性が高いとし、できるだけ早期に職務を停止する必要があるとの見解を示したが弾劾への賛成を求めるには至らなかった。与党は同日遅くまで開かれた会合で弾劾への反対姿勢を改めて確認した。

野党が提出した弾劾訴追案は7日に採決の予定。

韓代表は午前に開かれた党の会合後、尹大統領が今週の戒厳令発動時に「反国家勢力」であることを理由に有力政治家らの逮捕を命じていたと明らかにするとともに、党の弾劾反対姿勢を変えつつある可能性を示唆した。「私は昨日、準備不足の混乱による国民と支持者への影響を防ぐため、今回の弾劾案を通さないようにすると言ったが、新たに明らかになった事実に照らせば、大韓民国と国民を守るためには尹大統領の即時職務停止が必要だと考えている」と述べた。明確に弾劾を求めることはなく、記者団の質問にも答えなかった。

聯合ニュースによると、大統領府はその後、逮捕命令を否定した。

最大野党「共に民主党」の関係者は、戒厳令が再び宣布される可能性を警戒し、野党議員らが国会の本会議場を回りそうした試みを阻止しようとしていると述べた。

金善鎬国防相代行は、戒厳令が再び発令される可能性があるとの情報は事実ではないと語った。

陸軍特殊戦司令部の郭種根司令官は、3日夜以降の発令時に国会本会議場から議員を外に連れ出すよう金竜顕国防相(当時)から指示を受けていたが、これに従わなかったと明らかにした。また新たに「非常戒厳」が発令されても拒否する考えを示した。

中央選挙管理委員会は6日の声明で、4日にかけての騒動の間、戒厳部隊約300人がソウル近郊の選管本部と全国各地の選管施設に侵入したとした。

「憲法上の独立機関である国家選挙管理委員会の占拠は、憲法や法律に根拠のない、明らかに違憲かつ違法な行為だ」と声明は述べた。

YTNの報道によると、政府と軍の検察当局は非常戒厳発令について共同捜査を行うことを決定した。

国防省は、発令を巡り陸軍司令官3人を停職処分とし、軍検察は将校10人の海外渡航禁止を求めていることを明らかにした。

与党内には弾劾賛成に声もあるが、一方で2016年には当時の朴槿恵大統領が弾劾され、保守政党の後退につながった事態を繰り返したくないと反対の声もあり、韓代表が党幹部と十分に協議しなかったと批判がでた。

韓国ギャラップが6日発表した世論調査によると、尹大統領の支持率は過去最低の13%に低下した。調査は3日夜の戒厳令を巡る騒動後に行われた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中