ニュース速報
ワールド

COP29、政治的緊張で協議難航 アルゼンチンは離脱

2024年11月15日(金)12時26分

 11月14日、アゼルバイジャンの首都バクーで開催されている国連気候変動枠組み条約第29回締結国会議(COP29)では、政治的緊張により協議に暗雲が垂れ込め、アルゼンチンが代表団をバクーから引き揚げた。写真はCOP29のロゴ。アゼルバイジャンのバクーで撮影(2024 ロイター/Murad Sezer)

Kate Abnett Olesya Astakhova Virginia Furness

[バクー 14日 ロイター] - アゼルバイジャンの首都バクーで開催されている国連気候変動枠組み条約第29回締結国会議(COP29)では、政治的緊張により協議に暗雲が垂れ込め、アルゼンチンが14日に代表団をバクーから引き揚げた。ただ、各国は気候変動対策費1兆ドルの調達方法について協議の進展を図っている。

COP29成功の是非は、先進国や開発金融機関、民間部門が毎年拠出する新たな資金の目標について各国が合意できるかどうかで決まる。エコノミストによると、発展途上国は気候変動に対処するため2030年まで少なくとも年間1兆ドルの資金を必要としている。

多くの国は、この資金は来年にブラジルで開催されるCOP30より前に踏み込んだ気候変動対策目標を設定する上で重要だと表明している。

だが今年の会議では、意見の不一致や世界的な政治情勢の変化を巡る悲観的な見方を背景に、協議のとりまとめは難航しそうだ。

米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで気候変動対策における米国の将来的な役割に疑念が生じている上、会議場では先進国と発展途上国間のあつれきも表面化した。

14日には「気候金融における独立ハイレベル専門家グループ(IHLEG)」が、各国が今すぐに行動しなければ、年間の目標資金を2035年までに少なくとも1兆3000億ドルに引き上げる必要があるとの推計を示した。

水面下では各国の交渉担当者が草案の策定に取り組んでいるが、国連が公表したこれまでの文書では、見解には依然として大きな隔たりがあることが示されている。

バクーに到着した多くの西側の政府代表者は、高額な支援を約束するのに消極的だ。米国が将来の資金援助から離脱する可能性があることも、必要な資金を確保する他の方法を見つけなければならないという参加者への重圧になっている。

アルゼンチンが代表団を引き揚げたのは、本国政府からの指示だった。

同国の大統領報道官はブエノスアイレスでの記者会見でこの措置について、新任のヘラルド・ウェルテン外相が「状況を検証し直して、立ち位置に反映」できるようにするためだと説明した。

一方、スランスのパニエリュナシェ・エコロジー移行相は13日、COP29に出席しないと明らかにした。アゼルバイジャンのアリエフ大統領が、フランスが海外領土で犯罪をしているなどと非難したことに反発したためで、南太平洋のフランス領ニューカレドニアで起きた暴動を巡る両国の対立が激化している。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米FBI長官にパテル氏を指名、トランプ氏に忠実な元

ワールド

トランプ氏「非常に生産的」、加首相と国境・貿易・エ

ビジネス

アングル:スマホアプリが主戦場、変わる米国の年末商

ビジネス

焦点:不法移民送還に軍動員へ、トランプ氏の構想は法
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で17番目」
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    白昼のビーチに「クラスター子弾の雨」が降る瞬間...クリミアで数百人の海水浴客が逃げ惑う緊迫映像
  • 4
    「すぐ消える」という説明を信じて女性が入れた「最…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    ロシア・クルスク州の軍用空港にウクライナがミサイ…
  • 7
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 8
    LED化を超える省エネ、ウェルビーイング推進...パナ…
  • 9
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 10
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 4
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていた…
  • 5
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 6
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中