ニュース速報
ワールド

米原油の対中輸出、10月は持ち直すも先行き暗く

2024年11月12日(火)11時23分

 11月11日、米データ分析会社ケプラーは、米国産原油の10月の中国に対する輸出量は日量13万バレルになった。写真は原油掘削設備。米テキサス州 で2018年8月撮影(2024 ロイター/Nick Oxford)

Arathy Somasekhar

[ヒューストン 11日 ロイター] - 米データ分析会社ケプラーは11日、米国産原油の10月の中国に対する輸出量は日量13万バレルになった。8月は日量2万4000バレルと、新型コロナウイルス感染拡大が響いて需要が落ち込んでいた2020年2月以来の低水準だったが、今年9月は日量約13万4000バレルに続いて持ち直した。

ただ、中国の燃料需要や製油所の利益は低迷しており、ケプラーは米国産原油の輸出の先行きは暗いと分析した。

今年10月の輸出量も、2023年の平均日量25万9000バレルの約半分にとどまっている。中国の需要低迷が足を引っ張り、米原油の今年10月のアジア向け輸出は日量95万5000バレルと約3年ぶりの低水準となった。

中国税関総署が7日発表したデータによると、10月の原油輸入総量は前年同月比9%減の日量約1053万バレルとなり、6カ月連続で前年同月を下回った。22カ月ぶりの低水準となった7月の日量997万バレルからはやや回復した。

中国はロシア、イラン、ベネズエラといった米国の制裁対象国から割安な価格で購入する原油が増えている。10月のこれら3カ国からの輸入量は日量約300万バレルと、10月の輸入総量の約30%を占めた。

5月にカナダのトランス・マウンテン・パイプライン(TMX)の拡張プロジェクトが完了したことを受け、西部アルバータ州からカナダ太平洋岸への原油輸送量がほぼ3倍になった。これに伴って中国に対するカナダ産原油の輸出量が増加した一方、米国からの原油輸出量は減っている。10月にカナダ西部バンクーバーから中国へ輸出された原油は過去最高の日量21万7000バレルとなった。

アナリストらは、中国政府の経済成長を促す取り組みが定着し、燃料需要を押し上げるには時間がかかるとして米原油の対中輸出は今後も低迷が続く公算が大きいとの見方を示している。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中