ニュース速報

ワールド

タイ中銀、2会合連続で0.25%利上げ 今年の成長予想据え置き

2022年09月29日(木)08時53分

 9月28日、タイ中央銀行は、政策金利を25bp引き上げ1.00%とした。写真はバンコクの同行前で2016年4月撮影(2022年 ロイター/Jorge Silva)

[バンコク 28日 ロイター] - タイ中央銀行は28日の金融政策委員会で、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ1.00%とした。利上げは2会合連続で、14年ぶりの高水準にあるインフレを抑制するとともに景気の回復を持続させることが狙い。

2022年の経済成長予測は6月時点の3.3%で据え置いた。

利上げは全会一致で決定。ロイター調査ではエコノミスト25人中22人が25bpの利上げ、3人が50bpの利上げを予想していた。

中銀は声明で、政策金利は徐々に正常化するべきとしながらも、必要なら大幅利上げも可能と示唆。「成長とインフレの見通しが現在の評価から変化した場合、政策正常化の規模とタイミングを調整する用意がある」と説明した。またインフレリスクが高まった状態でタイ経済は回復を続けると予想した。

総合インフレ率は既にピークを過ぎており、今年終盤に徐々に低下し始め、来年第2・四半期には目標レンジに戻るとの見通しを示した。

22年の総合インフレ率の予測は6.2%から6.3%に上方修正。23年の総合インフレ率の予測は2.5%から2.6%に上方修正した。

ANZのアナリストは、中銀が政策正常化のペースを変更する余地を残したことが注目に値すると指摘。中銀が一段の通貨安を望まないなら、今より積極的な利上げに転じるよう外部から圧力が強まるだろうと予想した。

通貨バーツの対ドル相場は年初から12.8%下落。米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げ継続が背景にある。

バーツは中銀の決定を受けて下げ幅を拡大し、約16年ぶりの安値近辺で推移した。

ピティ・ディスヤタット総裁補は、中銀はインフレ退治に引き続き軸足を置くが、過度な為替の動きに対して行動する用意があると表明した。

キャピタル・エコノミクスは顧客向けノートで、今後数カ月は景気回復を持続しながらインフレを抑え込み、通貨を下支えすることが中銀の主要な課題になると指摘。中銀が引き締めペースを加速する必要が生じると予想し、年末までに政策金利が1.75%に引き上げられると見込んだ。

23年の経済成長予測は4.2%から3.8%に下方修正した。

今年の観光客数は950万人、23年には2100万人と、6月時点の予測より拡大するとの見通しを示した。また、今年の輸出は8.2%増になると予想。6月時点(7.9%増)から上方修正した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU外相、対ロシア新制裁案承認できず スロバキアが

ワールド

イスラエル、シリア南部で政府軍攻撃 ドルーズ派保護

ビジネス

トランプ氏、AIでテック・エネ業界と連携 900億

ワールド

米仏独英、イラン核合意の期限を8月末にすることで合
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 5
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 9
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中