ほとんどの民主国家では、指導者が重要な外交を家族や知人に委ねれば、激しい非難を招くだろう。だがトランプ米大統領がそうした行為を行っても、反発を受けることはほとんどない。多くの人が彼の縁故外交を「異端」扱いし、軽視しているからだ。

トランプは極めて重要な外交の多くを、娘婿のジャレッド・クシュナーと、自身のビジネスパートナーである不動産王スティーブ・ウィトコフに委ねてきた。第1次トランプ政権で上級顧問を務めたクシュナーは、イスラエルとアラブ4カ国の国交正常化を実現した「アブラハム合意」の交渉に携わり、現在はウィトコフと共に和平担当特使を務めている。

クシュナーとウィトコフはウクライナやパレスチナ自治区ガザ、イランとの交渉を主導してきたが、両者はそもそも外交経験がなく、明白な利益相反を抱えている。

物議を醸したのが、パキスタン政府とワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)との関係だ。暗号通貨ベンチャーのWLFはウィトコフの息子ザックが共同CEOを務めており、トランプとウィトコフの家族が大半の株式を保有している。今年1月にWLFの関連会社とパキスタン政府が締結した覚書によれば、パキスタンの国境を越える決済には同社のステーブルコイン(SC)を利用する計画だという。

だがパキスタンは、アメリカとイランの協議の舞台であり、両者の仲介役でもある。地政学的な成果とビジネス上の利益追求が同時進行すると、外交は交渉へのアクセスや影響力、経済的な利益が絡み合う市場原理に支配されるようになる。

©Project Syndicate

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【note限定公開記事】外交かビジネスか──トランプ政権の“影の交渉人”たち

 

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