ニュース速報

ワールド

米アマゾン、2.5億ユーロの追徴課税巡りEU裁で勝訴

2021年05月13日(木)11時45分

欧州連合(EU)が米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムへの追徴課税を求めていた問題で、EUの一般裁判所は12日、アマゾンの訴えを支持する判断を下した。ニューヨーク州で昨年撮影。(2021年 ロイター/Andrew Kelly)

[ブリュッセル 12日 ロイター] - 欧州連合(EU)が米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムへの追徴課税を求めていた問題で、EUの一般裁判所は12日、アマゾンの訴えを支持する判断を下した。

国際企業に対する不公平な税負担軽減を是正する欧州委員会の取り組みに打撃となる。

欧州委はルクセンブルク政府に対し、アマゾンに約2億5000万ユーロ(3億0300万ドル)の追徴課税を課すよう命じていた。

一般裁判所はルクセンブルク政府との取り決めでアマゾンは選択的優遇を受けていなかったとの見解を示した。

「アマゾングループの欧州子会社の税負担が不当に軽減されていたことを示す必要な法的根拠を欧州委は示していない」と指摘した。

一般裁判所は昨年、米アップルに130億ユーロ(150億ドル)の追徴課税を行うようアイルランド政府に命じた欧州委の決定を無効と判断している。

アマゾンはこの判決を歓迎する声明を発表。「当社は適用される全ての法律を順守し特別扱いを受けたことはないという、これまで長きにわたって示してきた立場」に沿ったものだと述べた。

ルクセンブルク政府は今回の判決により、この税制が政府による補助金、すなわち競争を阻害し得る優遇措置ではないことが示されたとした。

欧州委のベステアー上級副委員長(競争政策担当)は、最高裁に上告するかを決定する前に判決を精査すると述べた。

クイーン・メアリー大学(ロンドン)の競争法・経済学教授、Ioannis Kokkoris氏は、欧州委が上告を断念することはないだろうとの見解を示す。「政府補助金を巡る欧州委の次の一手は、今回の判決で示された懸念事項に沿って微調整されるかもしれないが、ベステアー氏が追及の手を緩めることはないだろう」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ

ビジネス

中国、ハードテクノロジー投資のVCファンド設立=国

ワールド

金・銀が最高値、地政学リスクや米利下げ観測で プラ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中