ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、中国への原油の直接出荷再開 米制裁にもかかわらず

2020年11月27日(金)09時53分

11月26日、 ベネズエラが米制裁を受けて停止していた中国への原油の直接出荷を再開したことが、リフィニティブのEikonデータやベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の内部文書で分かった。ベネズエラのターミナル港で撮影(2020年 ロイター/Jorge Silva)

[26日 ロイター] - ベネズエラが米制裁を受けて停止していた中国への原油の直接出荷を再開したことが、リフィニティブのEikonデータやベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の内部文書で分かった。

PDVSAの長年の主要顧客である中国国有の中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は、米国がPDVSAへの制裁を強化し、同社と取引する企業を対象に含めたことを受け、2019年8月にベネズエラの港での原油や燃料の積み込みを停止した。

トランプ米政権は、ベネズエラのマドゥロ大統領の失脚を目指し、同国の石油部門に対する制裁を強化してきた。しかし、同国の石油輸出を完全に停止し、マドゥロ大統領の権力を弱めるには至っていない。

PDVSAの顧客はマレーシアへの出荷を増やし、海上で貨物を積み替えることで、制裁を潜り抜けており、ベネズエラ産原油の大半は中国に出荷され続けてきた。

PDVSA、CNPC、ペトロチャイナ、ベネズエラ石油省はコメント要請に応じていない。

米財務省の報道官は25日、「ベネズエラ石油部門での活動に関与する者は制裁を受ける可能性がある」と警告した。

出荷追跡サービス会社タンカートラッカーズ・ドット・コムによると、ベネズエラ産原油の中国への直接出荷を再開した最初のタンカーは「Kyoto」で、8月下旬にベネズエラの港で180万バレルの重質原油を積み込んだ。

また、PDVSAの出荷関連文書やリフィニティブのEikonデータでも、少なくとももう1隻のタンカー「Warrior King」が中国の港でベネズエラ産原油の積み降ろしを行っていることや、ペトロチャイナ所有の船舶2隻が今月、ベネズエラで原油を積み込んだことが示されている。

PDVSAの内部文書によると、Kyotoは「Wanneng Munay」と呼ばれる企業がチャーター。リフィニティブのEikonデータによると、アジアに向かう大部分のルートで、位置情報を知らせるのに使われる装置であるトランスポンダーを切ったまま航行し、11月初めに中国・大連の石油ターミナルで荷降ろしを行った。

過去に石油取引の経験がないロシア籍企業十数社が、ここ数カ月の間にPDVSAの顧客として浮上しており、Wanneng Munayはそのうちの1社だ。

同社からのコメントは得られていない。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国の航空大手、日本便キャンセル無料を来年3月まで

ビジネス

金融政策の具体的手法は日銀に、適切な運営期待=城内

ワールド

仏大統領、ウクライナ問題で結束「不可欠」 米への不

ワールド

ロシアとインド、防衛関係を再構築へ 首脳会談受け共
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中