ニュース速報

ワールド

米大統領補佐官、台湾巡り中国に警鐘 米国の反応は「曖昧」

2020年10月08日(木)12時03分

 オブライエン米大統領補佐官(写真)は10月7日、中国に対し武力による台湾の併合を目指さないよう警告、上陸作戦は困難で、米国が武力行使にどう反応するかも「曖昧」だとの認識を示した。ホワイトハウスで9月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[ワシントン 7日 ロイター] - オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、中国に対し武力による台湾の併合を目指さないよう警告、上陸作戦は困難で、米国が武力行使にどう反応するかも「曖昧」だとの認識を示した。

ネバダ大学でのイベントで述べた。

同補佐官は、中国が海軍の大規模な増強を進めていると指摘。第1次世界大戦前にドイツが英海軍に対抗するために進めた増強以来、最大の規模ではないかとの見方を示した。

同補佐官は「われわれを西太平洋から追い出し、台湾への上陸作戦を可能にすることが目的の1つだ」と発言。「ただ、上陸作戦は難しいことでよく知られている」とし、中国と台湾は160キロメートル離れており、上陸できる海岸も少ないと指摘した。

同補佐官は、中国が台湾併合に動いた場合、米国はどう対処するかとの質問に「簡単な任務ではない。また、中国が台湾を攻撃した場合、米国がどう反応するか非常に曖昧だという点もある」と述べた。

米政府は、中国の台湾侵攻への対応を明確にしない「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策を以前からとっている。

同補佐官は、台湾に対し防衛費を増やし、軍の改革を進めるべきだとも発言。「台湾の防衛費は域内総生産(GDP)の1.2%だ。中国は70年の歴史で最大の軍事増強を進めている。GDPの1%で、中国を抑止できると期待しては駄目だ」と述べた。

同補佐官は「(台湾は)ヤマアラシになるべきだ。ライオンは普通、ヤマアラシを食べない」とも発言した。

米国防総省のデビッド・ヘルビー国防次官補代行(東アジア担当)も6日、台湾が防衛費を14億米ドル拡大しようとする計画は正しい方向へのステップだと評価しつつ、中国の脅威が高まる中で強靭(きょうじん)な防衛を確固たるものにするには不十分だと発言している。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、S&P500年末予想を5500に引き上げ

ビジネス

UAE経済は好調 今年予想上回る4%成長へ IMF

ワールド

ニューカレドニア、空港閉鎖で観光客足止め 仏から警

ワールド

イスラエル、ラファの軍事作戦拡大の意向 国防相が米
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『悪は存在しない』のあの20分間

  • 4

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 9

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中