ニュース速報

ワールド

WTO、EUの対米報復関税を承認 ボーイング補助金問題で=関係筋

2020年09月30日(水)11時23分

FILE PHOTO: A logo is pictured on the headquarters of the World Trade Organization (WTO) in Geneva, Switzerland, June 2, 2020. REUTERS/Denis Balibouse/File Photo

[30日 ロイター] - WTO(世界貿易機関)は、欧州連合(EU)が米政府による米航空機大手ボーイングへの補助金支給に対する報復として40億ドル相当の米製品に関税を課すことをを承認した。

事情に詳しい関係筋が明らかにした。

米政府は昨年、EUによるエアバスへの補助金に対する報復関税がWTOに承認されたのを受け、75億ドル相当の欧州製品に輸入関税を発動した。

米国とEUは航空機補助金の違法性を巡って、16年にわたりWTOで争ってきた。

双方は25日にWTOの紛争機関の決定について知らさており、数週間内に公表される見通し。

米通商代表部(USTR)とEUのワシントン事務所はコメントの求めにこれまでのところ応じていない。

ボーイングはWTOの決定に関する報道についてコメントを控えたが、紛争解決に向けワシントン州での税優遇措置を辞退した同社の決定をエアバスが無視したと批判した。

エアバスも最近、米欧の紛争解決に向け、フランスとスペインから借り入れた開発資金に対する支払金利の引き上げに合意したと発表している。

ボーイング機を含む米製品にEUが実際に報復関税を発動するにはWTOの正式承認が必要で、米欧の関係筋によると、11月3日の米大統領選前に発動する可能性は低いという。

欧州の関係筋はまた、今回の承認に含まれない42億ドル相当の製品に関税を課す可能性を指摘した。

アナリストは、WTOがEUの対米報復関税を承認することで、長年の膠着状態がようやく解消する可能性があると指摘。

元米商務省高官で現在は米戦略国際問題研究所(CSIS)に在籍するウィリアム・ラインシュ氏は「誰もがこの決定を待っていた。交渉の土台になる」と述べた。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、10月は前月比・前年比とも伸び
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中