ニュース速報

ワールド

抗マラリア薬、新型コロナ治療で効果示されず 初の主要臨床試験

2020年06月04日(木)08時07分

新型コロナウイルス感染症治療への抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」利用に関する初の主要臨床試験で、ウイルスにさらされた後に投与しても効果がないという結果が3日示された。写真はブラジルのポルトアレグレの病院で5月に撮影した同薬(2019年 ロイター/DIEGO VARA)

[3日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染症治療への抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」利用に関する初の主要臨床試験で、ウイルスにさらされた後に投与しても効果がないという結果が3日示された。また、ヒドロキシクロロキン使用に伴う深刻な副作用や心臓への影響は確認されなかった。

ミネソタ大の研究者らが主導した試験では、新型コロナとの接触があった、もしくは感染リスクの高い世帯に住む821人の被験者にヒドロキシクロロキンもしくは偽薬(プラセボ)を投与し、効果を比較した。

ヒドロキシクロロキンが投与された被験者では、新型コロナ感染症のような症状を発症したのは11.8%、プラセボでは14.3%だった。この差は統計上有意でなく、研究者は「試験のデータからは、ウイルスにさらされた後、ヒドロキシクロロキンに効果がないことが示された」と述べた。

ヒドロキシクロロキンはトランプ米大統領が有望な新型コロナ治療薬として推奨し、自身も服用していた。

一方、欧州では一部の国で政府が新型コロナ患者へのヒドロキシクロロキンの投与を禁止している。また、米国内の医療機関でも使用を大幅に減らしている。

ミネソタ大の臨床試験では、ヒドロキシクロロキンを投与された人のうち40%で吐き気や腹部の不快感といった軽い副作用が確認されたが、この割合はプラセボを投与された人では17%だった。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は同日、新型コロナ感染症の治療に利用するため、一時停止していたヒドロキシクロロキンの臨床試験を再開すると発表している。[nL4N2DG3O6]

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カンボジアとの停戦維持、合意違反でタイは兵士解放を

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中