ニュース速報

ワールド

チリ反政府デモ、収束見えず ペソ最安値で経済に打撃

2019年11月13日(水)10時48分

反政府デモが続くチリで12日、公務員が新たに全国的な大規模ストライキを実施する計画を表明した。政府が新憲法制定に応じたものの、事態収束のめどは立っていない。バルパライソで撮影(2019年 ロイター/Rodrigo Garrido)

[サンティアゴ 12日 ロイター] - 3週間にわたる反政府デモが続くチリでは12日、公務員が全国規模の新たなストライキを表明するなど、収束する兆しが見えていない。通貨ペソが最安値を更新するなか、ブリオネス財務相は、通貨安が国内経済に大きな打撃を及ぼしていると指摘し、平常に戻るよう国民に呼びかけた。

抗議活動は時に暴徒化し、放火や略奪などに発展。これまでに少なくとも20人の死者が出ている。反政府デモの要求に屈する格好で、ブルメル内務相は10日、ピノチェト軍事政権時代に制定された憲法に代わる新たな憲法の草案を作成することで合意したと発表した。[nL4N27R4FR]

トラック運転手や他のデモ参加者はこの日、首都サンティアゴと港湾地域などをつなぐ少なくとも2つの主要高速道路にバリケードを設置し、交通渋滞や一部の地方議会の機能まひなどを引き起こしている。サンティアゴでは学校やビジネスの多くが閉鎖された。

ペソは12日、一時1ドル=800ペソを割り込んで下落した。10月中旬からは10%超下げている。

ブリオネス財務相は、ペソ安は懸念すべき兆候だと指摘し、ペソ相場を注視していると述べた。また、数週間におよぶストや抗議デモ、公共交通の混乱などで、経済に30億ドルの打撃が及んでいるとの見方を示した。

チリ中央銀行のマルセル総裁は声明を発表し、ペソ安にも関わらず、財政状況は引き続きしっかりとしているとの見方を示した。

中銀はデモの経済への影響を注視してきたとしたうえで、「国内の金融システムは健全で、(リスクへのエクスポージャーは低く)財政状況はしっかりとしている。外貨準備と政府系ファンドは適切な水準を維持している。インフレ期待は3%で抑制されており、金融政策は状況に合わせて適切に運営されている」と説明した。

この日公表されたロイターのアナリストを対象にした調査によると、中銀は12月の会合で政策金利を1.5%に引き下げる見通し。5カ月後の政策金利は1.25%と予想されている。

消費者物価指数(CPI)は、11月は横ばい、12月は0.1%上昇が見込まれている。12月CPIは前年比2.7%上昇と、中銀目標をわずかに下回る見通し。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、12日夜につなぎ予算案署名の公算 政府

ワールド

イランの濃縮ウラン巡る査察、大幅遅れ IAEAが加

ワールド

世界原油需給、26年は小幅な供給過剰 OPECが見

ビジネス

ミランFRB理事、利下げ改めて主張 「インフレは低
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 3
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 10
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中