ニュース速報

ワールド

EU、G20で貿易摩擦が世界経済に与える悪影響を警告へ 

2018年09月30日(日)11時37分

 9月28日、欧州連合は10月11─12日にインドネシア・バリで開催予定のG20財務相・中央銀行総裁会議で、貿易摩擦の高まりが世界経済に「深刻で悪い」影響を与える可能性を警告する方針。写真は4月にワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の集合写真(2018年 ロイター/Yuri Gripas)

[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)は10月11─12日にインドネシア・バリで開催予定の20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、貿易摩擦の高まりが世界経済に「深刻で悪い」影響を与える可能性を警告する方針。

保護主義的な政策を認めない姿勢を示し、世界貿易機関(WTO)を通して貿易紛争を解決するよう促す。

G20では、米中欧の貿易摩擦が主要議題となる見通し。

EUがG20のために準備した文書では、「貿易摩擦の高まりを不安視している。底堅く包括的・安定的な均衡の取れた世界経済の成長と投資に深刻で悪い影響を与えるかもしれない」とした。「開放された市場を促進し、不公平な貿易慣行を含むいかなる保護主義も許さず、規則に沿った多国間協調とモノとサービスの公正な貿易の強化、投資、知的財産権についてG20は改めてコミットすべきだ」と明示した。

EU当局者は、中国が不公平な通商政策を実行し知的財産権を盗んでいることについて米国と意見が一致しているとの見方を示した上で、中国の慣行を是正する方法について見解が異なると主張。EUは、中国の問題を、貿易戦争ではなくWTOを通して解決するべきだとの意見だ。一方、トランプ米大統領は、WTOが問題解決に適切な機関ではないと発言している。

EU当局者はG20前に中国を訪問し、WTO改革について協議する。トランプ大統領は、WTOの紛争処理手続きに当たる委員の再任を拒否したり、中国などに関税を発動しており、WTO加盟国に対する改革圧力が強まっている。

トランプ大統領の怒りの対象は主に中国だとみられる。このため、補助金や国営企業、優遇措置を巡るWTOのより厳格な規制に中国を従わせることが、トランプ氏の求めるWTO「是正」を達成する鍵かもしれない。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の出生権主義見直し、地裁が再び差し止め 

ワールド

米国務長官、ASEAN地域の重要性強調 関税攻勢の

ワールド

英仏、核抑止力で「歴史的」連携 首脳が合意

ビジネス

米エヌビディア時価総額、終値ベースで4兆ドル突破
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 8
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    昼寝中のはずが...モニターが映し出した赤ちゃんの「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中