Kentaro Sugiyama

[東京 22日 ロイター] - 経団連と連合が22日、都内で懇談会を開き、2025年春季労使交渉(春闘)が事実上始まった。労使ともに力強い賃上げの流れの「定着」を目指すことで方向性は一致しており、中小・小規模事業者や非正規労働者まで幅広く賃上げが広がるよう機運醸成を目指す。

経団連の十倉雅和会長は懇談会後、記者団の取材に応じ、賃上げの「定着」とは持続的な賃金と分配の好循環が始まることだと説明。コストプッシュ型の賃上げではなく、ディマンドプル型の循環としていかなければならないと語った。

その上で、連合と経済界は社会保障や政府・民間の役割などで「驚くほど考え方が似ている」と指摘。労使が春に行う共闘という意味で「春闘」としたいと述べた。

<中小組合の要求水準への認識には「隔たり」も>

連合の集計によると、24年は基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた平均賃上げ率が5.1%と、33年ぶりの高水準だった。ベア率は3.56%で、集計を開始した15年以降で最も高かった。

連合は25年春闘は要求水準を「5%以上」で据え置き、それを最低ラインとして取り組むことで賃上げの定着を図る。24年に4.4%だった中小組合の賃上げ率の引き上げも目指し、中小組合は企業規模による格差を是正するため「1万8000円以上・6%以上」を目安とした。

一方、経団連は、この中小組合の要求水準について「目安、かつ労働運動であることを考慮しても極めて高い水準といわざるを得ない」との認識を示す。

中小企業の賃上げ原資の安定的な確保には、中小企業自身による生産性向上や、サプライチェーン全体を通じた取り組みが必要となる。また、小売業など消費者と接点の多い業種では、価格転嫁に消費者が理解を示し受け入れることも重要となる。

日本経済研究センターが15日に公表した「ESPフォーキャスト」1月調査によると、25年春闘の賃上げ率(厚生労働省「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)の予想値平均値は4.74%と、24年実績(5.33%)から鈍化する見通しとなっている。

<経団連はベア呼びかけ>

十倉会長は懇談会の冒頭あいさつで、賃金引き上げのモメンタムを定着させる年にすると強調。ベアを念頭に置いた結果を呼び掛けていくとし、適正な価格転嫁と販売価格アップを受け入れることを社会的規範として浸透させることが重要との認識を示した。

連合の芳野友子会長は「昨年は賃金も物価も経済も安定的に上昇する経済社会のステージ転換が図られたが、物価上昇はコストプッシュ型の要因が続いており、決して『上げ潮』とは言えない」と指摘。その上で、日本経済を底上げするには「隅々まで」賃上げが波及しなければならないと語った。

懇談後、芳野会長は官邸で石破茂首相と面会。政労会見の開催を要請し、首相は前向きに検討すると応じたことを面会後、記者団に明らかにした。政労使会議については、具体的な日程は出なかったという。

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