ニュース速報
ビジネス

過剰政府債務、25年に市場揺るがす恐れ=BIS報告書

2024年12月11日(水)01時37分

国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。写真はバーゼルのBIS本部。2021年3月撮影(2024年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[ロンドン 10日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。

BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、過剰な政府債務が債券市場の混乱を引き起こし、他の資産にも波及する恐れがあると警告した。

「金融市場は増大する政府債務を吸収しなければならないことを認識し始めている」とした上で、「政策立案者の政策調整には時間がかかり、市場が目覚めるのを待っていると手遅れになる」と述べた。

国際金融協会(IIF)によると、各国政府の財政赤字増大で、公的債務が2028年までに3割以上増え、130兆ドルに近づく可能性がある。

トランプ次期米大統領が掲げる減税案で、すでに36兆ドルに達する米債務はさらに8兆ドル近く膨らむとみられている。

BISの報告では、フランスの財政赤字を巡る政局の混乱や日本の財政拡張の動きも「財政懸念の再燃」の要因として挙げた。

世界の国債や社債などの動きに影響する米10年債利回りは今年9月以来、約56ベーシスポイント(bp)上昇し、4.22%近辺で推移している。

米国債の投資環境は、国債の供給過剰と、景気刺激策によるインフレという2つの危険に直面しており、今年に入ってBISが公的債務に警告を発した時点よりも「今の方が心配すべき理由が増えている」とボリオ氏は言及した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド総合PMI、12月は58.9に低下 10カ月

ビジネス

プライベートクレジット、来年デフォルト増加の恐れ=

ワールド

豪銃撃、容疑者は「イスラム国」から影響 事件前にフ

ワールド

スーダン、人道危機リストで3年連続ワースト1位 内
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中