ニュース速報

ビジネス

トヨタ、定額課金専用プリウス投入 安く安全機能後付け可能に

2022年12月07日(水)14時03分

 12月7日、トヨタ自動車は今冬投入する新型「プリウス」を定額課金でも販売し、一部仕様車に安全機能を更新したり、装備を後付けできるサービスを提供する。写真はプリウス。カリフォルニア州 ロサンゼルスで11月撮影(2022年 ロイター/Mike Blake )

[東京 7日 ロイター] - トヨタ自動車は今冬投入する新型「プリウス」を定額課金でも販売し、一部仕様車に安全機能を更新したり、装備を後付けできるサービスを提供する。ソフトウエアの更新は電気自動車大手の米テスラが先行し、トヨタも一部車種で採用済みだが、主力のハイブリッド車で展開することで需要を開拓する。

トヨタグループの定額課金サービス事業会社KINTO(キント、名古屋市)が7日に発表した。これまで最新の衝突被害軽減ブレーキなどを使うにはその機能の搭載車に買い替える必要があったが、無線でソフトを更新し、対応したハードに取り換えることで使えるようになる。車の機能を高め、サービスの月額利用料引き下げと車の価値維持を狙う。

キントの小寺信也社長はロイターの取材に対し、「これまでは車を売ったらそれで終わりだったが、販売後も継続的に付加価値を顧客に提供できないか」との思いから新サービスは生まれたと説明。新サービスの月額利用料の実額は新型プリウス発売時に公表するが、通常の定額課金サービスに比べて「10%くらい安くなる」と述べた。

ソフトの更新には「OTA(オーバー・ジ・エア=無線通信によるデータ送受信)」の名で知られる技術を使う。スマートフォンやパソコンの基本ソフト(OS)を更新するのと同じ要領で、費用は月額利用料に含む。

ハードの後付けも可能にする。これまで膨大な施工作業が必要だったが、配線の調整やセンサーの取り付けなど、あらかじめ幅広い機能を追加できる設計にし、作業を簡素化した。費用は装備ごとに一括払いか、月額利用料に加算する。全国約5000店ある販売網を生かし、ソフトとハードの両面で機能を高める。

後付けするのは、周囲の映像を表示する機能や死角を走る車を通知する機能など。通常の売り切りなら購入後の車の価値は下がるが、新サービスで機能を高めた車の場合は中古でも価値の維持が見込める。本来なら中古で下がる車両価格との差額分を月額利用料に反映して割安にする。

小寺社長は、テスラの利用者が「新しく良いもの」に対価を払う高所得者が多いのに対し、トヨタの利用者は「良くて壊れず安心できて安いもの」を求める人が多いと指摘。特にプリウスは何代も買い替えてきた顧客が多く、新サービスが受容されるか試金石になると話す。小寺社長は、プリウスで反響を見つつ、1─2年のうちに他の車種でも始め、「できれば世界展開も目指したい」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中