ニュース速報

ビジネス

ECB、物価高を懸念 引き締めペースが唯一の議題=議事要旨

2022年05月19日(木)23時27分

欧州中央銀行(ECB)が19日に公表した4月13─14日の理事会の議事要旨で、インフレの拡大に広範な懸念が示され、政策をどの程度速く、どこまで引き締めるべきかが唯一の主要な議題だったことが分かった。2021年12月撮影(2022年 ロイター/Wolfgang Rattay)

[フランクフルト 19日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が19日に公表した4月13─14日の理事会の議事要旨で、インフレの拡大に広範な懸念が示され、政策をどの程度速く、どこまで引き締めるべきかが唯一の主要な議題だったことが分かった。

ECBは同理事会で政策金利を据え置く一方、量的緩和策の段階的縮小方針を確認。債券買い入れを今四半期中に縮小し、第3・四半期に終了するとのガイダンスを維持し、金利は量的緩和終了後も「しばらく」は上昇せず、また緩やかなものになるとした。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻に関連する不確実性を強調し、具体的な日程については手がかりを示さなかった。

議事要旨で、超緩和的な金融政策を転換する時期が来たとの考えでは一致したものの、どの程度速いペースで引き締めを行い、どこまで踏み込むべきかについては見解が分かれたことが判明。

「一部のメンバーは遅滞なく行動することが重要」とし、「理事会がより速いペースでの政策正常化プロセスを示唆しなければ、インフレ期待が上昇し続けるリスクがある」と主張。「資産の純買い入れをできるだけ早期に終了させ、買い入れ終了直後に最初の利上げを実施する可能性を開く必要がある」とし、「利上げの条件はすでに明らかに達成されている」との見方を示した。

一方、金融引き締めは慎重、かつ段階的に実施する必要があるとの見解も示された。

同理事会後に公の場で発言したECB政策担当者のほぼ全員が7月の利上げ着手を提唱。ECBの中銀預金金利は現在マイナス0.5%だが、政策担当者の多くは年内のマイナス金利政策終了に支持を示している。

政策担当者は、政策正常化とは政策金利を「中立」水準まで引き上げることだとしているが、中立金利の定義は難しいとも指摘。議事要旨は「自然実質金利は依然としてマイナス圏にあると推計される」とし、「ECBの主要名目金利が中立水準に近づくのは、政策正常化プロセスのかなり遅い段階になってからと予想される」とした。

次回のECB理事会は6月9日。7月の利上げを示唆すると予想されている。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中