ニュース速報

ビジネス

米経済、コロナ禍からの完全回復に約3年必要=NY連銀総裁

2020年09月30日(水)05時57分

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は29日、米経済は新型コロナウイルス禍から予想より力強く回復しているとしながらも、経済が力強さを完全に回復するには3年程度かかるとの認識を示した。ワシントンのFRB本部で昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[29日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は29日、米経済は新型コロナウイルス禍から予想より力強く回復しているとしながらも、経済が力強さを完全に回復するには3年程度かかるとの認識を示した。

ウィリアムズ総裁は「最大雇用をできるだけ早期に回復したい」とし、米経済は「向こう約3年間で」力強さを取り戻し、完全雇用に近い状態になる可能性があると述べた。

ただ、数年間は「多くの不確実性が明らかに存在する」とした。

財政支援の欠如も経済回復を弱らせると指摘。「経済は非常に良い軌道に乗っていると思う。ただ、財政刺激策がこの軌道に影響を及ぼすかもしれない」とした。

来年にはワクチンなど新型コロナ治療薬が開発される可能性があり、これは消費者が安心して社会活動に従事できるようにする上で重要と強調。そこに至るまでには消費者や企業を支援する財政支援の拡充が必要だとした。

また、前回の景気拡大期には予算制限によって回復が鈍化したため、州政府や地方自治体を注視することも重要になると語った。

さらに、インフレ率が望ましいとされる水準を下回っていた時期との均衡を取るために、「米連邦準備理事会(FRB)は意図的に、インフレ率を一定期間オーバーシュートさせる必要がある」と述べた。

その上で、2%超のインフレ容認の成功は「算術や公式に基づくのではなく、インフレ期待が鍵を握る」と強調した。

これに先立ち、ウィリアムズ総裁は講演で、金融市場の状況は3月に2008年の金融危機時とほぼ同じかそれ以上に悪化したとし、その原因を追求して将来のショックから金融システムを保護する方法を探ることが重要だと発言。

「規制や技術など要因がいかなるものであっても、市場のエコシステムの変化が市場の耐性にどのような影響を与えたのかを理解する必要がある」と指摘。市場安定化に向け、米連邦準備理事会(FRB)が昨年9月から3月にかけて実施してきた大規模なレポオペや、米債や住宅ローン担保証券の購入を巡る状況を研究することにより、金融システム強化に向けた改革につながる可能性があるとした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB現行策で物価目標達成可能、労働市場が主要懸念

ワールド

トルコ大統領、プーチン氏に限定停戦案示唆 エネ施設

ワールド

EU、来年7月から少額小包に関税3ユーロ賦課 中国

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、「引き締め的な政策」望む
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中