ニュース速報

ビジネス

豪経済活動、極めて大幅に縮小する見込み=中銀議事要旨

2020年04月01日(水)13時23分

 4月1日、オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は、3月に開いた臨時理事会の議事要旨を公表し、経済活動が「極めて大幅に縮小」する可能性に懸念を示した。シドニー市内のマクドナルドで3月撮影(2020年 ロイター/Loren Elliott)

[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は1日、3月に開いた臨時理事会の議事要旨を公表し、経済活動が「極めて大幅に縮小」する可能性に懸念を示した。

同中銀は3月18日に臨時理事会を開催。政策金利を過去最低の0.25%に引き下げ、初の量的緩和(QE)を発表した。[nL4N2BC1JG]

議事要旨では、「流動的な状況」を踏まえれば新たな経済見通しを示すのは不可能とした上で、「豪経済活動は1─3月期と4─6月期に極めて大幅に縮小する見込みで、こうした状況はさらに長く続く可能性がある」とした。

理事会メンバーはまた、政策金利のオフィシャルキャッシュレートは事実上の下限にあり、当局としてマイナス金利は「求めていない」との見解で一致。追加利下げは検討されていないことを示唆した。

中銀の次回会合は4月7日に予定されている。

中銀はまた、異例の措置は「通常時では検討されることはなかった」と指摘した。

オーストラリアでは新型コロナウイルスの感染者が4500人を超え、死者は20人となっている。

中銀は、経済活動の落ち込み度合いについて、感染拡大防止のため対人距離をとる「ソーシャル・ディスタンシング」やロックダウン(都市封鎖)を巡る動向に左右されるとの見方を示した。

エコノミストらは、中銀の政策について、債券買い入れの規模が注目点になっていると指摘。

中銀は3月20日のQE開始以来、債券買い入れを毎営業日行っており、これまでに合計で約240億豪ドル(147億米ドル)相当の国債と州・特別地域政府債を買い入れている。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のエコノミスト、Su-lin Ong氏は「RBAは最新のマクロ経済見通しを公表していないが、不透明感が強いなか、見通しが大幅に修正されると議事要旨は示唆した」と分析。

中銀のマイナス金利に消極的な姿勢と、政府が最近打ち出した大型経済対策を踏まえると、中銀は当面、政策変更を見送る可能性が高いと予想した。

景気の見通しについて、ウエストパックのエコノミストは、6月までに豪失業率が11%を上回る水準に悪化し、今年の国内総生産(GDP)は3%減少すると予想している。

オーストラリアは1990年代初め以降、2四半期連続のマイナス成長を経験していない。

19年第4・四半期の豪GDPは前年比2.2%増、2月の失業率は5.1%だった。

コモンウェルス銀行(CBA)の経営トップは今週、豪GDPが第1・四半期だけで10%落ち込むとの見方を示した。

*内容を追加し、カテゴリーを追加・変更して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ポーランド、最後のロシア総領事館閉鎖へ 鉄道爆破関

ビジネス

金融規制緩和、FRBバランスシート縮小につながる可

ワールド

サマーズ氏、オープンAI取締役辞任 エプスタイン元

ワールド

ゼレンスキー氏、トルコ訪問 エルドアン大統領と会談
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中